鈎掛かりの不思議

鯛ラバでの鈎掛かりは、まことに興味深い。
釣り上げた魚は、マダイに限らず、
半数以上、おそらく7割近くは、口の外側に掛かっている。

魚種によっては、
口の内側に掛かるほうが確率が高いものもいる。
イトヨリダイなどがそうだ。
2本ある鈎のうち、1本はたいてい内側に掛かる。
カナトフグも、小さい口にもかかわらず、口の中だ。

考えられることは、これらの魚は、
鈎そのものを餌として見ているということ。
釣三丸スタンダードでは、
銀色(白)のチヌ鈎を使っているが、
それが、本体とともに、
ひらひらと揺れながら動いているので、
シラスなどの餌と勘違いしていると思われる。
手の平サイズのマダイなども
よく鈎をくわえようとする。

本命のキロオーバーマダイになると、
途端に、口の中に掛かる割合がぐっと下がる。
捕食スイッチが入ったマダイは、
本体を丸ごとくわえようとするからだ。

あるいは、頭にあたる、
鯛玉(おもり)のほうからガブリと食い付く。
食い付いた瞬間、
たわんだフックリーダーの先の鈎が
口周りに掛かるという訳だ。

興味スイッチのレベルでは、
ネクタイをつつきにくる。
警戒心を解いていないので、
餌であるかどうかを確かめるようにくわえる。

それでも、鈎は、
シリコンよりは比重があるので、
ネクタイの下にあり、うまくすれば、
口の下の方に鈎が掛かることがある。

鈎は、魚の身に
深く食い入ることが極めて重要で、
できれば貫通していることが望ましい。
そうでなければ、
マダイの激しい首振りによって、鈎はたやすく外れる。

釣三丸流では、
先が鋭く、軸が細い鈎を使うことで、
鈎が貫通し、バレにくい状態になるようにしている。

伸されたり折れたりしやすいというリスクはあるが、
何よりも、鈎掛かりを重視している。
掛かってなんぼなのである。




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