潮による時合いを読む


ある日の実釣。
最悪の条件下で鯛ラバをしていた時、
四時間も全くノーヒットだった。

澄み潮。船流速度0.0km。
ラインはバーチカル。
それに、水温低下直後。
この四つの条件が揃えば、
うんざりするくらい、完ぺきに釣れない。

せいぜい、エソまたは、カナトフグ。
運が良ければ、ホウボウといったところだ。
それでも、何とか本命を一尾掛けたいと頑張った。

どこもかしこも、船がまともに動かなかった。
速度計は、0.0kmばかりで、
僅かに動いても、0.7kmがせいぜいだった。
フィールド全体がどんよりとしていた。

ラインは、ほぼバーチカルのまま。
四時間駄目だったら、普通は諦めるし、
仕掛けには実績と自信があるので、
 これ以上やっても無駄だろうと思っていた。

ふと、脳裏に浮かんだのは、
満潮前なら潮時となるかも知れないということ。
あと半時間ほど。
それに懸けてみようと思った。

そして、この日、初めて、まともに船が動いた。
といっても、1.1kmと、
先ほどまでよりほんの少し速くなったくらいだった。

が、海の中は確実に変化している。
引き重りが加わり、
ラインはややインクライン(斜め)になった。

すると、すかさず、本命が鈎に掛かった。
それも、二尾連続だった。
どちらも50cmほどの若い鯛だったが、
食い渋りの中、釣り上げた本命だったので、
うれしさもひとしおだった。

さすがに、大物が掛かるような変化ではなかったが、
わずかな変化を見逃さないことが、
確かな釣果につながるという典型的な事例だった。

満潮前後、干潮前後には必ず流れに、
マダイの食い気を誘うような変化がある。
どちらかといえば、
干潮から上げの潮が動き始めた時、
あるいは、満潮から下げの潮が動いた時がいい。

厳しい条件であったとしても、
潮の変化によって、
マダイは捕食スイッチを入れることがある。



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