風が微弱だった。 猛暑の釣りの大変さをたっぷり味わうこととなった。 少年ゲストは連日の乗船である。
昨夜は大物を釣り上げて、満足睡眠ができたらしい。
今日は、釣れんだろうな。 といった通りに、食いが渋くて、
甘噛みプレコンタクトが頻繁だった。 船の動きが緩やかで、ほとんどバーチカル。 これでは釣れるはずがない。
ところが、浅場を流していたら、 キュイーーーンが出た。 キュイーーーン。 キュイーーーン。 と、三度の釣果音を聴くことができた。
65cmのオスの本命だった。 これで約一週間分の食材となる。 よかった、よかった。
低条件、低活性でも、
なかには突如として捕食スイッチが入るのもいる。 タイラバというソフトルアーの魅力である。
その後、しばらくは、また、アタリなし。
とろとろと潮が流れていた。 暑いし、良型は釣ったし、 単独なら、帰港していたところだが、 少年の熱心な様子に、継続することに。
すると、再び船長にいいアタリがあった。 重々しい引きだが、糸が出たのは初っ端だけだった。 巨エソではないようだ。
こういう時は、たいてい根魚が多い。 これほど重いのは久しぶりだった。 はたして、なんという魚だろうかと、不思議がっていると、
やはり、根魚が浮かび上がってきた。
オオモンハタである。
53cmの立派なハタだった。 ここ数年、ぱったりと釣れなくなっていた魚だが、 今年になって、二度目の再会だった。
少年は、昨日とは打って変わって、調子がいまいちだった。 釣れる日もあれば、そうでない日もある。 そのことを、今日は学んだことだろう。
釣り運がないといえば、それまでだが、 そういう日は、どういう訳か、エソに好かれる。 複数の巨エソを釣り上げていた。
鯛玉をひとつも失わなかった。 それだけが、幸運だった。
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