6月26日

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凪。無風。やや霧。心配するほどではなかったが、
周りの船はほとんど見えない。
不気味な雰囲気が漂っていた。
今にも大蛇がダバッと目の前に現れそうな・・・。

籠網船の爆音が聞こえていた。
このところ、毎日のようにこの船が漁をしている。
普通、籠を仕掛けてしばらくは引き上げないと思うのだが、
それだけよく獲物が入っているということだろう。

エンジン音には敏感なマダイは、
音が大きいとまず釣れない。
できるだけ遠ざかるようにしようとしたが、
霧の為に、難儀した。
GPSを頼りに、あちこちと移動。

どこもかしこも、1.1kmで船は動いていた。
流れはいいのだが、ラインはバーチカル。
活性も低いようで、プレコンタクトが三度あったが、
鈎に乗るずっと手前でタイラバの元を去っていくのだ。
これでは釣れるわけがない。

オールリリースデーなので、釣果は必要ない。
本命が一尾、コンタクトすればじゅうぶんだ。
だが、二時間が過ぎてもアタリは無かった。
実は、こういう条件が良いのに食わないという状況は、
鯛ラバの実釣研修としては最適なのだ。
食わない時にこそ、勘が研ぎ澄まされ、
魚との、ほんのわずかな接触が、
めきめきと技量を高める。

同じような流れが続いていると、
条件が好いように見えて、食わない。
プレコンタクトばかりなのだが、
潮の変化が生じると、リアルコンタクトの可能性が、
ぐぐっと上がるのである。

定速的な流れのあとに、必ずといってよいほど、潮が動く。
それを期待している時間も、鯛ラバの面白さである。

釣れればいいというものではなく、
釣れるに至る過程を愉しむことで、
鯛ラバでしか味わえない妙味がある。
釣れなくても、ずっとリトリーブを続けていなければ、
この感覚は分からない。

満潮から下げに入っていたので、
そろそろ動く時間帯だろうと思っていると、
動いた!
1.1kmから1.8kmに変化したのだ。
満を持していたかのように、

ぐいっ、ぐいっ、ゴン。コンタクト!
ギュイーーーーーン。
大ダイにちがいないと思った。
中層を過ぎるまで、ぐいん、ぐいーんと、
重量感を伝えて来た。
ごり巻きではほとんど上がらなかったので、
大ダイであることを確信した。
指ブレーキ&ポンピング。

海面近くになってようやく、引きが無くなり、
「向こうでポッカリ」が起こった。

デッキに横たえると、
「精も根も尽き果てちゃったよー。」
と言わんばかりの顔に見えた。



オスの大ダイだった。
リリースする予定だったが、
まるでチダイのように、口から内臓が派手に出ていて、
残念ながら再起不能だった。
大ダイがこのようになるのは、初めて見た。
オスでよかったと思った。
島の友人にプレゼントすることにしよう。

今回も、潮の変わり目でコンタクトがあった。
大ダイを狙うなら、変化の大きい時間帯を釣ろう。
干満潮前後がいいのは言うまでもないが、
特に好いのは、満潮後である。



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