またも、ベタ凪。 始めのポイントは、0.0kmと、船が流れない。 次のポイントも、0.0kmと、やはり、流れない。
ほぼ無風状態の上、長潮と、もっとも小さな潮だった。 三度目の正直とばかりに移動したが、0.0km。
うーん。まいった。
いずこも同じで、転々とポイント巡りをしたが、 厳しい条件のまま釣行が推移していた。
今日は、ジャッキー(ジャストキロ級)の、
一尾でも掛かればいいか。 と考えるようになったのも無理はない。 低条件の切り札的ポイントへ向かった。 ここは、沖の海流と瀬戸の潮が合わさり、
低条件でも流れることがある。
おおっ、流れている。 と、よろこんだのは、1.4kmという速度表示だったからだ。 まさに、理想に近い。(理想は、1.6〜1.8km)
きっと、ジャッキー程度ならコンタクトしてくれるだろう。
ガツン!とひと息に食ってきた。 ギュイーーーーーン。
と、初めの釣果音が力強くサウンドした。 その後は、キュイーーン。キュイーーン。 と、短い糸出しを繰り返していた。
引きは強いが重量感があまりない。 粘り強く引くところをみると、 たぶん、ヒラゴだろうと予想しながら、 やり取りをたっぷりと楽しんだ。 70cm弱の食べごろサイズが上がって来た。
オールリリースデーだったが、
島の友人がヒラマサが大好きなことを思い出し、 キープをしようということになった。
準本命だった。 釣果音をたっぷり聴いたので、
満足感はこれでじゅうぶんだった。
だが、せっかくいい流れが続いていたので、 そのままリトリーブを続けることにした。
すると、ガツン。コンタクト! こんどは、キュイ、キュイとわずかな糸出しののち、 ジャッキー(キロ級マダイ)が姿を現してくれた。
このサイズの本命は、 判で押したように皆うつくしい。
これで、納竿しようと考えたが、 船は港の方角へ向かっていたので、そのまま流すことにした。
両手首と両肘の腱鞘炎が痛みだしていた。 これで、もう一度強い引きがあれば、たまらんな。 と、思っていると、 ・・・ それが、あった。
がつん。コンタクト! ギュイーーーーーン。ギュイーーーーーン。 ヒラゴどころではない引きがあった。 90cm級のヒラマサの引きだった。
しかも、重量感が半端なく、肘が悲鳴を上げていた。 歯を食いしばって引きに耐え、 指ブレーキをかけて、竿を煽っては、
その分を巻き取りながら何とか浮かせようと頑張った。 いてて、こりゃたまらん。 痛みに耐えながら、上がって来たのは、 ヒラマサでなく、大ダイだった。
スマートで体型の美しいオスのマダイだった。 80cm級の本命の引きはこんなにも強かったかと、 あらためて驚いた次第である。
0.0kmが続いた時は半ば諦めの心境だった。 それが、逆転ホームランのようなコンタクトで、 実に気分よく、帰港することができた。
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