今年の五月は例年になく凪が多い。 通常の年も比較的五月は安定した天候だが、 1日から今日まで、中四日間の時化を挟んで、
今日で既に、14日間も出港したことになる。
気候もいいし、PM2.5を除けば、 釣りにはもってこいの気候である。
本日はベタ凪。 普通は風が吹かねば船が流れないが、 いくつかのエリアでは、 潮流れが起こるので、そこへ行くことにした。
着いて速度計を見ると、1.1kmだった。 これで釣りになるのだが、ラインがバーチカルだった。 得てしてそういう条件ではキロ級はアタるが、
良型以上の大物はほとんど望めない。
しばらくすると、早々と、コンタクト! 数回竿を叩き、キュイ、・・・ キュイ、と、
ごくわずかに糸が出た。 なるほど、思っていた通りにキロ級だな。 と、引きを楽しんだ。
ジャストキロサイズの中型だった。
なんだか、前回と同じパターンだなと、 後の展開を予想すると、ちょっとたじろいだ。
まさか、また、昼過ぎまで次のアタリが来ないのか。
と思っていると、幸いにも、再びコンタクト! しばらく追い掛けて来ては、しっかり鈎に乗った。
キュイーーン。キュイーーン。と糸が出た。
これは、50cm級はあるだろうと予想していると、 その通りのサイズが海面に浮かんだ。
54cmの美的マダイだった。
最初のマダイに続き、これもリリース。 まだまだ産卵期が続いており、 空気と大きくなった卵巣が内臓を押し出そうとするので、
内臓が飛び出す危険性があるが、 二尾ともに大丈夫だった。 腹を軽く押さえてやると、プシューと空気が抜け、
すかさずリリースすると、元気に泳ぎ去る。
これで、やや安心した。 本命を二尾コンタクトさせ、釣果音も聴けたのだ。
まだ、一時間を少し過ぎた頃だったので、 もうしばらく続けることにした。
すると、またもや、コンタクト! キュイーーン。が二度あり、
中層に来ても、まだ引きが強いので、 てっきり本命かと思っていると、 それは、根魚だった。 キロサイズ近くのアオハタである。
島で釣れるハタの仲間では、 アオハタがもっともよく引き、しばし、マダイとまちがえる。
リリースデーだったが、
浮袋が口から派手に飛び出し、 目も飛び出していたので、再起不能。 「アオハタ丼」に舌鼓を打つことにした。
時間は流れ、三時間近くになった。 そろそろ帰るとするかと思っていると、 まだまだ満潮前までには時間があるというのに、
潮が強く動き出し、糸がインクラインになった。 あれ、これは、いい流れだぞ。 ひょっとすると、・・・。
がつっ、ぐいん。掛からない。
しかし、追って来ている。 が、がっ、がつん、ぐいーん。 よし、乗った。コンタクト! ギュイーーーン。ギュイーーーン。
と、二度、三度、強烈な釣果音が響いた。
重量感もあったので、良型以上だと思った。 慎重にやり取りをして、 魚を徐々に浮かせると、
パールピンクに輝いて、良型が姿を現した。
マダイの中のマダイといったふうで、 61cmというサイズにしては、 大ダイ並みの引きをしたことに驚いた。
急いで空気を抜かずにリリースすると、 白い腹を上にしてぷかぷか浮かんでいた。 遠く流れてゆく魚体を見送っていると、 2、3分後、バシッと強烈な水音を立てて、
無事に海中へと去って行った。
その後、潮の動きはぱったりと止まり、 キロサイズしかアタらないような条件になった。
絵に描いたような短時間の条件の変化に、 パワフルな良型が反応したという訳だ。
心が満たされ、 激釣に近い、三時間の釣行を終えた。
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