南寄りの風はポイント選定がむずかしい。 潮と風がそれぞれ逆向きに流れ、 着底がままならない。 今日の条件でカウントしてみると、
20巻きを4回すると、潮ボケしてしまった。 30巻きの7、8回というのが理想だが、 それとは程遠い、鯛ラバには不向きな風だった。
最初のポイントは、前回良型を釣り上げた所。 0.0kmだった。 潮と風がほぼ完全に逆向きで、船が動かない。 ラインだけはインクラインに出ている。
船が動かなければ、時間の浪費だと、移動。
次のポイントも、0.0km。移動。 次も、0.0kmで、時間の無駄と考え、移動。
なんだ。どこもここも動かないじゃないか。
四度目の掃除機。いや、正直で、 ようやく、0.9kmで安定して流れる場所を見つけた。
しかし、この流れの速さでは、20巻きだと辛い。 マダイがタイラバを複数回見てしまう距離である。 かといって、30巻きでは2回で着底不可。
そこで、25巻きの3回でリトリーブすることにした。 3度の再フォールで回収するのは正直疲れるが、 せっせとハンドルを回し続けていた。
ぐいっとネクタイを引っ張った魚がいた。 もう一度、ぐいっ。また、ぐいっ。 興味スイッチのまま追い掛けている場合の典型だ。
大抵は、咥えている内に餌でないと気付き、 そそくさと去ってしまうのがオチ。
ここで、ぴぴっと閃いた。
速巻きして、タイラバが必死で逃げる演出をしてみよう。 これが、まんまとうまくいく。 がつっ。コンタクト!
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。 まさしく大ダイの引きだった。
指ブレーキを掛けながら、
糸の出をセーブし、ポンピングしては、 素早く巻き取る行動に出た。 これが、功を奏し、向こうでポッカリとなった。
美しいオスの準大ダイだった。体長は68cm。 やさしげな顔をしている。 引きからすると、りっぱな大ダイである。
気は優しくて力持ち。オスの中のオスだった。
本日はオールリリースデーなので、 釣果音をありがとう!と声を掛けながら、お別れをした。
これで満足したのだが、 まだ一時間しか経っていなかった。 せっかく、いいポイントを見つけたのだから、
もう一尾、がんばってみるとするか。
とは思ってみたものの、 風はいっこうに弱まらず、沢山の白波が見えていた。
25巻きでも辛いので、20巻きリトリーブにした。 これでアタればもうけもの。
すると、またしても魚信が伝わってきた。
が、ががっ、ぐいっ、がつん、コンタクト! ギュイーーーン。 かなりの距離、糸が出た。 連続釣果音に気を良くして、やり取りにも熱が入る。
ギュイーーーン。 先ほどまではないが、これもなかなかのサイズだと思った。
前のより二回りほど全長は短かったが、
丸々としていて、重みがあった分、よく引いたのだろう。 体長はちょうど60cmの良型のメスだった。 パールピンクが初夏の日差しに照らされて、
ほれぼれするほど美しかった。
まだ二時間も経っていなかったが、 これで、7点獲得となり、満足の域となった。
0.0kmが続いた時は、どうなることかと思ったが、
わずかにでも流れるポイントを、 見つけられたのは幸運だった。
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