引き続き、好い凪にての出港。 平日というのに、あちこちでプレジャーボートが見られた。 トレーラブル2hpボートも浮かんでいられるくらいの凪だった。
その横を通る時はエンジンをスローにする。 佐渡のたらい船のように不安定に見えるので、 寄せ波でひっくり返りでもしたら大変だ。
釣三丸も以前、大きな船が横を通り、 しぶきが船内を揺るがすほどの寄せ波を食らったことがある。 幸い転覆には至らなかったが、非常に危険である。
島の漁師の皆さんはマナーがいいので、そういうことはない。
前回、大ダイを釣り上げたポイントを流してみた。 感触がまだ残っているので、
あわよくば、もう一尾ということで、・・・。
半時間ほどは、ちょうど潮止まりで、0.0km。 ラインはバーチカル。
これでは食うはずはないなとあきらめ加減であった。 ラインが立っていると、澄み潮では、 マダイから丸見えになる。
丸美屋のふりかけは旨いが、丸見えはよくない。 なんだか一度使ったことのあるギャグのような気がしたが、 かなり気に入っているので、もう一度。
しっかり、オヤジである。
オヤジといえば、いくつまでがオヤジなのだろうか。 三十代では、青年。四十代でオヤジの仲間入りだと思うだが、
還暦を過ぎてもオヤジになるのだろうか。 まだまだジジイと言われるのは早過ぎる。 ジジイと言われるのは嫌だが、
ジージなら言われてみてもいいかな。
取るに足らないことを考えている内に、 そろそろ下げの潮が動く時刻となった。
干潮満潮前後では、満潮から下げの潮が動く時が、 もっとも多く「大ダイ流れ」が発生する。 船流速度は1.4kmを超えるようになった。
糸は、インクライン。よし、これは来るぞ。 と思っていると、ほんとうに、来た。
がっ、・・・。がっ、・・・。いいぞ。追いかけて来い。
ぐいっ、ぐいーん、コンタクト!
実況中継の途中だが、ここで、解説を加えることにする。 私が釣りをしたことがある、
オーストラリアやニュージーランドでは、 魚がヒットしたことを、「コンタクト」と言う。 ヒットというのは、そもそも打つという意味なので、
かなり変な和製英語である。 突然だが、今後、「コンタクト」も使おう。
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
立て続けに釣果音が鳴り響いた。 ギュイーーーン。と余りに良く糸を出すものだから、 ヒラマサではないかと疑った。
この頃、ヒラマサがよくコンタクトしてくる。 大ダイなら、このあと、中層辺りで、 引きがほとんど無くなり、重量感だけを味わうようになる。
だが、この魚、中層でも引いた。 上層近くになってもラインは立っていて、まだ引く。 いよいよヒラマサだと思った。
ヒラマサより大ダイの方が良かったんだがなあ・・・。
ところが、澄み潮でよく見える海中を覗いていると、 マダイの魚影が見えてきた。
そして、「向こうでポッカリ」もなく、浮かび上がって来た。 玉網ですくう前も、まるでヒラマサのように、 海中へ逃げようとしていた。
あれえ、これ、ひょっとすると、 ヒラマサの遺伝子が混じっているのではないかと疑った。
姿は、りっぱな大ダイだった。70cm半ば。 実は、厳寒期、マダイのパワーは想定外に強い。 体温が下がっているが、それを補うように、
エネルギーの燃焼効率が高まるのだろう。 寒くて気合が入っているせいか、 ヒラマサ並に、最後まで抵抗する。
水温も気温も低いので、浮袋が膨らみにくくなることもある。 だから、この時期のやり取りがもっとも面白い。
ともあれ、連日の大ダイとのやり取りに、 満足な気分だった。 ありがとう!
さて、このあとは、どうしようか。
帰港にはまだまだ早過ぎる時刻だった。 実釣一時間しか経っていなかった。 大ダイは、一尾でじゅうぶんだ。
では、例によって、放浪流しでもしようか・・・。 だらだらと流れるままに船は動いていた。 「大ダイ流れ」の時間帯は終わり、
ラインはまた、バーチカル気味になっていた。
・・・・・。
さて、実釣三時間が経とうとしていた。
そろそろ、戻ろうかなと思っていると、 がつ、がつっ、ぐいーん。コンタクト! 「コンタクト」を使いたかったので、掛かって良かった。
キュイーン。キュイーン。と二、三度、 可愛らしい釣果音があった。
50cm半ばの中型マダイだった。
このマダイも、玉網入れ直前まで抵抗していた。 やはり、中型でも厳寒期のマダイは粘りが強い。 美しい姿を見送りながら、納竿することにした。
実釣三時間で本命が二尾。内一尾が大物。
まことに理想的な鯛ラバ釣行となった。
厳寒期としては、100点満点!
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