朝9時の風予報が北北東の2mだった。 これなら大丈夫だろうと、 セカンドハウスから崖下に広がる海を見ると、 白波が立っていた。断念。
正午、もう一度海を見渡すと、白波は消えていた。 明日からは大時化だ。ならば、今から行くとするか。
午後1時の出港となった。
午後出しは、年に一、二度あるかないか。 後のことを考えると余りにも余裕がない。
港近くでリトリーブしてみたが、駄目。
少し沖へ出てみたが、やっぱり駄目。 あちこちと小さく移動してみても駄目。 だめよーだめだめ。 水温低下に、まだ魚たちが慣れていないらしい。
午後4時までの三時間と決めていた。 午後出しのタイムリミット。
時刻は、ちょうど午後3時。 ハンドルを回していると、
ぐっという魚信があった。ぐっ、・・・。ぐぐっ・・・。 ぐいーん。ヒット!キュイーーン。キュイーーン。と、
短くはあるものの、確かにマダイの引きだと思った。
ここで逃せば本命ボウズ。 慎重に、慎重に、糸を巻き続けて行った。
緊張感のあるやり取りは、大ダイ以上だった。
釣果音は小さく三度聴くことができた。 50cm級だなと思っていると、 その通りの型が玉網入りとなった。
やったぜ!
この程度のサイズの本命でも、実にうれしいものだ。 さわやかな気分のまま、港へ帰ることができた。 規定の時刻まで、あと一時間を残していた。
低活性下での釣りであっても、 こうして、本命が鈎掛かりすることがあるのだ。 渋ければ渋いほど、掛かれば愉しい。
冬の午後出しは初めてだった。 一尾でも本命が釣れれば、言うことはない。
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