いつしかタイラバは漁具となっていた


釣三丸スタンダードというタイラバは、
もはや、漁具となってしまったようだ。
スタンダードとは、標準という意味で、
タイラバの基本的要素を一つ一つ解明していく内に、
鯛玉、本体、フックセットのどれもが、
いつしか、同じものになっていた。
そう。もはや、釣り具というより、漁具というに相応しい。

どの部品も精選されている上に、
材料費もできるだけ安価に抑えている。
そうでないと、凪の日はほぼ毎日鯛ラバをしている、
小漁師には経済的に厳しい。

安上がりだが、他のタイラバより、
1割から2割ほどコンタクト率が高いという自信がある。
そうでなければ、もう一年以上も使い続けることはないだろう。

小漁師だから、魚を収入源にしている訳でもなく、
他人と比べて釣果を誇る必要もない。
スタンダードで儲けようという気もさらさらない。

極めて単純な、
鯛ラバ専門小漁師であり、
鯛ラバという釣りを通しての、
マダイの研究家である。

余計な雑念を取り払って、
ひたすらキロオーバーのマダイをねらい続け、
膨大なデータを検証していく過程で、
約、一年前にスタンダードが完成した。

誰でも簡単に作れる。
細部に渡る細かい留意点は数多くあるが、
習得には時間は掛からない。
釣三丸の現在のゲストはすべてスタンダードを、
自作して使用しているので、
ゲストからも貴重なデータをもらうこともできる。
ゲストもほとんど毎回良い釣果を挙げている。

島に来る前は、
あれやこれやと様々な仕掛けを作ってみること自体が、
大きな楽しみでもあったが、
今では、タイラバを作ることが、
単純作業になってしまっているので、楽しくはない。

タイラバが、ただ単に、
小漁師の漁具となったのである。




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