一つのタイラバでマダイが釣れる理由


釣る度に思うのは、
こんなもんでよくマダイが釣れるもんだ。ということ。
様々な形状や色のタイラバを実釣検証してきた。
結局、「シンプルなものがもっともよく釣れる」
という結論に達したのだが、
たった一つのタイラバだけで、
よくもまあ、賢い大ダイが釣れるものだと感心している。

ベイトはふつう群れで泳いでいる。
だから、たった一つのタイラバが泳いでいたとしても、
マダイは見向きもしないだろう。
一人で鯛ラバをしていると、タイラバは一つ。
それでも、不思議なことに、
条件が良ければ、タイラバを餌と勘違いしてくれる。
だから、鯛ラバという釣りが成り立っているのだが、
それにしても興味深いことであると思う。

オキアミなどの餌釣りでさえも、
鈎の付いた餌だけの場合は、見向きもしないのがふつう。
だから、撒き餌が不可欠で、
大量のオキアミの中に鈎があって初めて魚は捕食する。

数十個のタイラバを一斉に泳がして、
コンタクト率を調べてみたらどうだろうか。
一つだけの時よりずっと確率は高くなるだろうか。
たぶん、そうはいかないだろう。

複数人で鯛ラバをすることもあるが、
2人でやろうと、3人でやろうと、
1人当たりの釣果は、ほとんど変わらないことに気が付いた。
むしろ、1人の方がいいのかも知れない。
つまり、一つのタイラバであろうと、
複数のタイラバであろうと、余り変わらないのである。

理由として考えられることは、
マダイはベイトの捕食があまり得意でないということに由来する。
多くの青魚は、小魚の群れに突っ込んで体当たりしたり、
ひれで叩いたりして、小魚を弱らせてから捕食する。
マダイの場合は、初めから弱っているベイトを
狙って捕食するのではないかと思っている。
ブリの群れの下にマダイが集まるというのはよく知られているが、
ブリが弱らせてくれたベイトのおこぼれを
頂戴していると言われていることからも、
そのことが証明できるのではないだろう。

つまり、ひらひらと弱々しげに泳いでいるタイラバは、
マダイにとって、弱ったベイトに見えているのだろう。
だから、これ幸いにと、捕食スイッチが入る。
弱ったベイトは1匹でも2、3匹でも同じこと。
タイラバ一つで釣れるのは、
その弱ったベイトが、
群れから離れているものだと勘違いしているからだろう。
条件が良ければ、絶好の捕食対象になっているはずである。

一人で鯛ラバをしていると、
見えない海中や、マダイの気持ちなどを、
じっくりと想像しながらハンドルを回している。




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