ある実釣での典型的な条件の変化と釣果


タイラバはルアーなので、
食い気が起こるかどうかが決定的なことは言うまでもない。
それが無いと、たとえ、目の前をタイラバが通過したとしても、
見向きもしない。というか、目に入っていないと思われる。
でんでんむし。いや、全然無視なのである。

では、食い気が起こる条件とは何か。
それは、ずばり、海の中の潮流の変化である。
魚は、その変化に敏感である。
潮が動くと、あちこちに湧昇流が湧き、
プランクトンや小魚が活性化することを知っている。
潮が動く時が、食事時という、
本能的な認識を持っている。

したがって、潮が動けば、
俄然、就餌活動は活発化し、タイラバを追うようになる。
直近の実釣例を紹介してみよう。

その日は、完ぺきなまでのベタ凪だった。
無風で、潮はほとんど動いていなかった。
海面に水滴を落とせば、波紋が広がるほどの静寂。
案の定、数時間も反応が無かった。

どんなに条件が悪くても、リトリーブを繰り返していれば、
1時間に、1、2度くらいは、
プレコンタクトくらいはあるのが普通だ。
しかし、その日は、2時間でたった1度あっただけ。
他魚すらもアタらないのである。

どこかに、潮の動くポイントはないものかと、
小規模移動を再三繰り返し、
3時間近くになったところで、
あるポイントで、船が流れ始めた。
無風は続いていたので、潮流れ(しおながれ)だった。

船流速度は、1.6km。
これは、ドテラ流しの鯛ラバには最適な速さである。
おおっ、いい流れだ。こりゃ、食って来るぞ。
と思う間もなく、ガツッ、ぐいん。
来たっ!ギュイーーーン。とドラグ音が響いた。

まったくの低条件から、
突然のような高条件に変化すると、
マダイは、いきなり捕食スイッチを入れることがある。
その典型的な実釣例だった。




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