リトリーブの速さ


天文学的な数のリトリーブを重ねている内に、
気が付けば、季節を問わずいつでも速巻きになっていた。
速巻きの方がコンタクト率がアップすることを、
身体で覚えたからだ。

一秒一巻より、ずっと速い。
私のリールは一巻が60cmほどだから、
おそらく、秒速1m前後で巻いているだろう。
それ以上になると、
リトリーブの本来の意味である、「回収」になる。

あまりに速いと、
マダイは始めから諦めて追わないだろう。
タイラバらしい速度があるようだ。
マダイを惹きつけるようなタイラバの動きが必要だ。

マダイにとって魅力的な泳ぎとは、
弱った小魚が逃げるくらいの速度だと考えてよい。
そのような速さに反応しやすい。

速巻きは、手返しが速くなるので、
フォールの回数が増える。
コンタクト率は回数に比例するので、
多ければ多いほど良い。

マダイがタイラバに最接近し、
臭いを嗅いだり、咥えたりして、
生命体でないことを感知すると、すぐに去って行く。
スローなリトリーブでは、感知する間を余計に与えてしまう。

タイラバの動きに惑わされて、
本物の餌であるかのように錯覚しているうちに、
鈎掛かりさせようというのだから、
コンマ何秒の、ごく短い時間に決着はつく。
まさに、瞬間の勝負なのである。

以上のような理由から、
私は常に速巻きをしている。

ただ、速巻きは、疲れるという短所がある。
長時間釣行の場合や、
腱鞘炎が悪化した場合は、普通の巻きスピードに変えている。
一巻きが1秒という通常の速さ以上であれば良い。

水温が低下し、
マダイが海底でじっとしているような時期には、
さすがに捕食スイッチが入る回数は少なくなるが、
スイッチが入れば、
適正水温の頃と同じように、
素早く泳いで、タイラバを追うのである。




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