鯛玉を作る

タイラバの仕掛けは至ってシンプルなので、
普通に器用な人であれば、
誰にでも簡単にできるだろう。

私の船のゲストも、ほとんどがハンドメイドしている。
自作できるルアーとしては、もっとも簡単なので、
今や、鯛ラバに熱中している人で、
自作しない人はいない。・・・かな?

部品のレベルもだんだん高くなっていて、
いい自作品ができるのは楽しみだ。
もう少し、安いといいのだが、・・・。

時化で出船できない日にまとめて作る。
しょっちゅう作っているので、
楽しいとは思わないないが、
細かな手作業は、脳のアンチエイジングになる。
脳の活性化には手作業がいちばんだ。
難し過ぎるとかえってストレスとなり、
脳に悪影響をもたらすが、
タイラバ作りは、ほど良い手先の作業である。

水深50〜80mの私のフィールドでは、
鯛玉は、舵付錘の25号(約94g)を使うのがベストで、
それ以外の重さのものは使わない。

20号以下では、着底に手間取り、
30号以上では、本体とのバランスが悪い。
鯛玉も含めて、タイラバなのである。

トンカチで側面を叩いて、
直径1.2cmのホログラムシールを貼れるように、
平らな部分を作る。文字通り、平場(たいらば)。

この、トンカチ作業が意外に難しい。
バランスよく両面を叩かないと、不格好になる。
コツは、ちょこっと叩いては、
裏返して、また、ちょこっと叩くこと。
手に取って、左右のバランスを確かめながら、
それを繰り返し、見栄えの良いものにしていく。

もう1000個は下らぬ数をこなしたと思うが、
いまだに失敗作は出てしまうという難しさだ。
決して不器用な方ではないと思うが、
ここまで難しいと、むしろ、面白い。
よおし、今度こそは、成功するぞおと、気合を入れる。

多少失敗しても、釣果には関係ないので、気は楽だ。
日本人気質として、見栄えを重んじているだけ。
まれに、満足品が生まれる。
80cmオーバーの大ダイを釣り上げるくらいの頻度。
よし、やった!と小躍りする。
エソに持って行かれては大変だと、
使わなかったりもする。(笑)

錘を叩くという作業から、
もうすでに、大ダイへの期待はふくらんでいる。
鯛玉には糸を通す穴があって、
ここは、大きい方がいいので、
目打ちなどで、穴を広げておく方が良い。
フォール時に、鯛玉と本体とが分離しやすくなる。

私が使っている無垢錘は、
穴が小さいので必ず広げている。
鯛玉は鉛なので、リーダーを傷つける心配はないが、
念の為に、出入り口が尖っていないかも確かめる。
リーダー保護チューブは入れる必要が無い。
穴の通りが悪くならないようにするのが先決だ。

ホログラムシールは、百円ショップなどで売っている。
それを穴あけパンチで切り抜けば、
簡単に鯛玉用の円形ホロができる。
パンチは、12mmがベスト。

色は銀が最適。きらきら光るのがいい。
ベイトの小魚の鱗を演出している。

鯛玉には、地味な色を塗る。
ホロを目立たせる為だ。
鯛玉が派手であれば、
せっかくのホロが活かされない。
できれば暗色系の色にしよう。

あとの手間を考えると、水性ペイントでじゅうぶん。
一度塗りでもかまわないが、
無垢錘は、最初は水をはじくので、重ね塗りをする。

一日使い終わった後は、塗り直して、
ホロももちろん、貼り直す。
こうして出来上がった鯛玉は、
それ自身を餌と思って、マダイがよくかぶりつく。
数時間も使えば、
削ったような傷や小さな穴がいくつも付いている。
どれも大抵はマダイの歯によるものだ。
想定以上の集魚効果があることに、いつも感心している。

好条件なら本命がよくヒットする。
そうでなければ、巨エソが、
頻繁に食い付いて来るので厄介ではある。

鯛ラバの部品のなかでは、
もっとも手間がかかり、値も張り、
海中汚染も心配なので、
ロスした時のショックは大きい。
私が巨エソ・トラウマになった最大の理由である。



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