九日ぶりの出港だった。 時化パターンが続いた後は、転気が訪れる。 かなり身体が鈍(なま)っていて、 あちこちの関節が軋(きし)んでいた。
港の釣り仲間から、 沖でヒラゴがよく食っているとの情報を得た。
岩礁地帯から始めると、
ファーストフォールで、カサゴがコンタクト。 続けて、カサゴ。のち、無反応。 もう少し沖へ行く必要があったが、 ヒラゴよりマダイを釣りたいので、
前回のコンタクトポイントへ行くことにした。
ベイトもおらず、あちこちリトリーブして回ったが、 いずれも無反応だった。
漁船が前回のポイント近くを流していた。 それを避けるように釣り歩いた。
しかし、いつまで経っても、反応は無い。
再びエリア移動となったが、 ここでようやく、まともなアタリがあって、 くいっ、くいっと竿先を叩きながら、 キロ弱マダイが顔を見せた。
ここで、急に、潮流が速くなった。 2.0km以上という、急速ドテラ流しとなった。 30巻を過ぎても追って来る魚がいた。
おお、マダイが付いて来ているのだろうと期待した。 が、鈎に掛かったのは40cm級のアオハタだった。
ちょっと残念だったが、掛からぬより余程いい。 この時点で四時間が過ぎていて、 このままでは、本命ボウズになる危機感があった。
更に三十分が経った時だった。 がつん!とアタリがあり、釣果音がした。
キュイーーーーーン。 かなり長い糸出しに、興奮した。
よし、これは大物だ。 キュイーーーーーン。と二度目の長い糸出し。 潮の抵抗とコラボしていたので、 大ダイ並みに重く感じていた。
竿をあおっては、素早く巻き取る。 その繰り返し。 これを逃しては、確実に本命ボウズになる。 緊張感があった。
無事に、大物は玉網に収まった。 ふーっと大きく安堵のため息をついた。
三月に入って今日で五回目の出船だったが、
これで、5回連続の大物コンタクトとなった。 時化が続くが、船を出すことができれば、 食いは渋くても粘っていれば、
いつかは、良型、大型に出会えるだろう。 それが、島の早春の特徴である。
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