2月6日(3)

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2尾目の本命を、1尾目から4時間後に釣り上げて、
納竿となるはずが、大ダイ流れのような状況になっていた。
ここでやめたら、男がすたるとばかりに、続けた。
もういい、今日は、疲労困憊になってやろうじゃないか。
果たして、運命は、その通りに展開していった。

やはり、20巻きほどで、がつんときた。
しかし、あとが違っていた。
キュイーーーーーン。
キュイーーーーーン。
と、強烈とまではいかなかったが、長い引きが二度あった。
ドラグはまるで役に立たない。
指ブレーキをあてながら、やり取りをした。
キュイーーン。
キュイーーン。と、引きはやや弱まったが、
本命ならぬパワーに、青物であることを悟った。
ハマチか、ヒラゴか。どちらかだろう。

青物と言えど、80cmオーバーでなければ、
慌てる必要はない。ネットインは楽勝のはずだった。

ところが、・・・。
ふと後ろを振り返ると、あと40mくらいのところに
籠網の旗が見えた。
船が流されて、その旗を直撃しそうな方向である。
懸命に巻き取ろうとしたが、
間に合うような状況ではなかった。
旗の下にはロープがあって、その下に籠がある。
更には籠と籠をつなぐロープもある。
魚がそのロープに糸を巻き込んだら、万事休すなのだ。

船はどんどん旗に近付いていく。
船長にしては、めずらしく焦っていた。
どうするのかと思っていたら、
船のエンジンをかけ、微速で移動し始めた。
旗を避(よ)けようというのである。

竿を左手に、船のハンドルを右手に持ち、
旗を避けて、ゆっくり横に走らせた。
その間も、時折、リールを巻き上げながら、
船と旗との距離を目ではかっていた。

ようやく、安全と思われる位置まで船を移動させた。
これで、やり取りに専念することができる。
船首に立ち、右に左に竿先を動かしながら、
青物の引きをかわそうとしていた。

そして、ついに、長く白い魚体が浮かんできた。
ヒラゴだった。



まさしく、危機一髪の、「旗かわし」の術。
この程度の大きさで、これほどの焦りと緊張感は、珍しい。
もし、80cm以上のヒラマサやブリだったら、・・・。
と想像すると、このサイズはむしろラッキーだったと言える。

これにて、納竿!






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