時化気味だった。 こんな日は、沖の岩礁地帯では、 船が揺れ過ぎて、釣り辛いが、 前回釣れたブリの感触をもう一度ということで、
無理をして船をそのエリアへ走らせた。
ところが、ブリはおろか、 猫の子一匹いない。いや、そもそも猫は海にはいない。
掛かる魚がまるでいなかったのだ。 5時間も頑張った。 単独では、これが限界という釣行時間である。 しかも、船は大揺れで、正直きつかった。
釣れた魚は、小さなイラと、 小型のキジハタのみ。 本命ボウズは、ほぼ確実だが、 ここまで貧果なのは、
数年前、ホウボウ1匹に終わった過去と同レベル。 こんな日もあるんだと深い感慨にふけっていた。
岩礁地帯はついに諦めて、
深場の、波の穏やかなエリアを流した。 ここは、イトヨリダイがよく掛かるポイントが多い。 せっかくなので、イトヨリでも持ち帰ってさばくことにするか。
そう考えたが、そのイトヨリもまるでアタらない。
イトヨリが居れば、エソも居るはずだが、 幸いにも、エソも掛からなかった。
ここまでアタらないと、 エソすら、恋しく思うものだ。(ウソ) 5時間から30分が経過した。 ここまで粘るのは、意地としか言いようがない。
すると、・・・。 その意地に呼応したかのように、 ガツッと、手応えがあり、何かの魚が鈎に乗った。
そして、キュイーーン。と短い釣果音が出た。 よしっ!ついにきたか。とよろこんだ。
美しい50cmちょうどのメスだった。
5時間半も粘っての本命だったから、 そのうれしさといったら、ありゃしない。 大したサイズではないが、ルンルン気分に陥った。
写真を撮ってリリース・・・。
だが、これは、ドラマの序章に過ぎなかった。 驚きの結果がこの後に来る。
(つづく)
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