一週間ぶりの出港だった。 このところ、秋の気配が急速に進み、 北東風をメインに、時化が続くことが多い。 時化は勘弁だが、
この方角の風で出港できれば、 本命に出会うチャンスは高まる。
ところが、今日は、風は安定しておらず、
吹いたり止んだりと落ち着かなかった。 吹けば船が動き、止むと止まる。 方角も、南寄りだった。
満潮が午前7時だったので、
早朝から出港した。 下げの潮が動く二時間程度が勝負と見ていた。
ポイントに着くと、船は、1.1kmで流れていた。
ラインはバーチカルだった。 中の下くらいの条件だっただろうか。
同乗の弟子の浜ちゃんには、 40巻きを指示した。
トビウオの時期は、マダイの視線が上向いているので、 巻き数は増やした方がいい。
早速、船長の竿にいいアタリがあった。
キュイ、キュイと、短い糸出し。 ああ、これは、ジャッキー(ジャストキロ級の本命)だな。 と予想していると、その通りになった。
一週間ぶりの本命とのやり取りは、 妙に新鮮で、面白かった。
体長は48cm。
まだ、幼魚の名残の縦縞があった。 リリースすると瞬時に立ち去った。
しばらくして、浜ちゃんにコンタクト。
キュイーーン。キュイーーン。キュイーーン。 と、しつこいくらいに糸が出て行った。 大ダイかどうかを確かめる為に、
船長が竿を持って、重量を量ったが、 どうやら、中型らしい。 ドラグを緩め過ぎていたようだった。
56cmの中型マダイだった。
強引に手でブリ上げようとしたら、 鈎が外れて、海面を漂った。 浜ちゃんは必死になって、何とかつかみ上げた。
浮き袋が大きく膨らんでいたのが幸いしたのだった。 こういうことがあるから、
キロオーバーは、玉網ですくうのが賢明だ。 いい学習になっただろう。
つづけて、二度のアタリがあり、 良型のチダイがコンタクト。
船長にもチダイ。
しばらくすると、またもや、浜ちゃんの竿が曲がった。
キュイーーン。キュイーーン。 と、釣果音が聴こえて来た。 玉網に収まったのは、中型マダイだった。
これで、本命が船中、三尾。 チダイやイトヨリダイの良型もきて、 さすがは、満潮後の下げの時間帯だと、 予想していた通りになった。
午前九時を過ぎると、ぱったりとアタリが止まり、 納竿することに。 次に活性化するまでには、 長い時間待たなければならないだろう。
本命二尾の浜ちゃんも、 「満足です。」と言っていた。
彼が作る釣三丸スタンダードも完成の域に近付き、 よく釣れるようになったのである。
|