「初」という文字がこれほど重なるのは珍しい。 滅多に無いというより、これが最初で最後だろうと思う。 そのくらい、稀に見る、ドラマとなった。
ひょっとすると、 宝くじで一等が当たるより難しいかも知れない。 7億円分の価値がある。 かな?
ドラマの主人公は、 弟子の浜ちゃんのいとこの松ちゃん。
浜ちゃんに誘われて鯛ラバ「初」挑戦となった。 もちろん、釣三丸の「初」乗船ゲストである。
今日は長潮で潮の動きがもっとも弱く、
風も無いので、当初から苦戦が予想された。 こういう時は、瀬周りを狙うしかないなと、 前回、中型マダイとヒラゴがコンタクトしたエリアへ直行した。
流れを確かめ、 瀬の真上辺りに停船した。
夜明け直後で、海中はまだ暗い。 20巻きでいいよと伝えて、実釣を開始した。
すると、松ちゃんのリールが唸っている。 ええーっ、もうアタったの。 「初」フォールの、「初」リトリーブでコンタクトしたのだった。
そ、そんなことって、・・・。
船長のタイラバはまだ着底すらしていなかった。 すぐに回収してサポートに回った。
ギュイーーーーーン。ギュイーーーーーン。 強烈な釣果音が聴こえた。 松ちゃんが歯を食いしばる音も聞こえる。 ギュイーーーーーン。
まずい!ヒラマサだと直感した。 ここは、瀬が荒いのだ。 瀬切れしないようにと、こちらもヒヤヒヤものだった。
とにかく手を止めないように、 巻き続けるように指示を出した。 ギュイーーーン。と、やや釣果音が低下した。
だが、まだ引きは強い。ギュイーーーン。
松ちゃんの頑張りによって、 意外に早く魚影が見えて来た。 「鯛じゃん!」浜ちゃんが叫んだ。
「でっけえー!」 浮かんできたのは、まぎれまなく大物マダイだった。
オレンジ色に輝く、オスのマダイだった。
体長は、ちょうど70cm。 何と、大ダイだったのである。
松ちゃんの人生で初めて釣った本命が、 初の大ダイだった!
なんということだろう。
初鯛ラバ、初乗船、初フォールの初リトリーブで、 初本命、しかも、初大ダイ。
釣三丸の歴史始まって以来の、快挙だった。 夢でも見ているのではないかと、 頬をつねったら、痛かった。
いきなりのドラマに酔いしれて、
その後は、鳴かず飛ばず。 かつてないほどにランガンを重ねたが、 それ以降、本命がコンタクトすることは無かった。
イトヨリダイは一時入れ食ったりもしたが。
浜ちゃんが、終わりの方で大物らしき魚を掛けた。 釣果音もたっぷりと聴かせてくれたので、
おおっ、二尾目の大ダイかと期待したが、 これまた、70cmという巨エソだった。ざんねん。
このエソは、浜ちゃんの祖母に、
エソ天にしてもらい、美味しくいただいた。 この天ぷらは、日本一かも知れない。 浜ちゃんには、次回も巨エソを釣ってもらおうっと。
|