ベタ凪。ほとんど無風。 船流速度は、 潮流れの1.1km平均で推移する。 条件は好い。活性はやや低い。 食いは、渋かった。
風が吹かないと、船の向きが安定せず、 ラインが船底方向に入ったり、 横に流れたりして、大変釣りづらい。
何度も、その場で船を立て直す始末。
底潮と上潮との落差はほとんどなく、 ラインはバーチカルだった。
総じて、大ダイは食わないような状況だった。 条件が揃わないと大型のコンタクトは難しい。
前回は、短時間だったが、
好条件、高活性、食い気良しという、 三つの状況が重なって釣り上げることができた。 今日は、どうだろう。
経験的には、こういう日は、 ジャッキーがせいぜいだろうと踏んでいた。
本命なら御の字である。 ジャッキーの一尾をと、頑張った。
最初にアタったのは、いい型のチダイだった。 リリースデーなので、放流した。
次にアタったのは、ムニエルサイズのイトヨリダイだった。 これまた、リリース。 このところ、リリースデーでも、
思わぬ魚が釣れたりして、冷凍室は満タン。
次のコンタクトは、小型マダイだった。
糸が出るか出ないかのギリギリのファイトを見せてくれた。 ジャッキーかと期待したが、43cmだった。惜しい。
その後は、ぱったりとアタリが止まった。 魚信は続いていたが、 がつっ。と来ても、ぐいっと来ても、 すべては、プレコンタクトで終わっていた。
ニアコンタクトが一度あって、少しよろこんだこともあった。
短時間で済ませたかったが、三時間を過ぎてしまった。 今日は、眠気さえ感じていた。
船上であくびが出るのも珍しい。 本日は、10連続という稀に見る出港続きで、 疲れもピークに達している。 だが、どんなに疲れていようと、凪の海を見ると、
別腹バージョンで、モチベーションが上がるのである。
沖へ出たからには、本命を一尾。
というのが、釣三丸に課せられた使命である。 使命というと大げさだが、 課題達成の過程で学ぶことが多いので、 敢えて、自らに課している。
思い立ったポイントを転々とした。 が、どこもかしこも無しの礫(つぶて)。
プレコンタクトはあるが、食いが大変渋いのであった。 魚の勢いがないと、鈎には掛からない。
さて、四時間近くになったので、 そろそろタイムリミットである。
最終流しを掛け下がりのポイントですることにした。 60mから68mに下っていくポイントだった。 ヒラゴが何度かコンタクトしたことがある。
覚えているだけで、五度。 ここにはヒラマササイズは居ない。
がつん、ぐいーん。コンタクト。 ヒラゴらしき魚がアタックしてきた。
ギュイーーーン。ほうら、来た! ギュイーーーン。 中層まで浮かせてもギュイーーーン。 だが、ヒラゴなので逃がすことはないだろうと、
引きを楽しんでいた。ギュイーーーン。
しばらくすると、魚体が見えてきた。 ほらね。ヒラゴ、・・・。と独り言をつぶやきかけて、・・・。
あれえ〜。マダイじゃあないか。
57cmのオスっぽいメスのマダイだった。 このサイズで、これほどまでに引きが強いのは初めてだった。 今日で、717回目の出船だったが、
どれだけ、経験を積んでも、 このような新しい事象に出くわす。 今回は、「ヒラゴマダイ」だった。 リリースすると、あっという間に海底へ姿を消した。
ともあれ、四時間をかけての課題解決に、 ほっと安堵の胸を撫で下ろした。
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