ベタ凪、濃霧。 船は、0.9kmほどでゆっくりと流れていた。 定番のイトヨリダイが二尾コンタクトしてくれたくらいで、
何だか、食いが渋い。活性は中程度で、 ガツッと来るが、鈎掛かりしない。
時折、おびただしいベイトの群れが、 魚探に移っていた。
フィッシュイーターもいるはずなんだがなあ。 なかなか勢いよく食い付いてくれるような状態ではなかった。
とつぜん、底で、ぐいっとタイラバをくわえた魚。 竿を上げ、巻き巻きしていると、 重さだけは感じていたので、根魚だろうと考えた。
そうだな。キロ級のタカバだったらいいな。 それとも、ウッカリカサゴかな。 最悪は巨エソ。だが、引きが無いので違うだろう。
海面下5mで、茶系の平たい魚体が見えた。 ええっ、ヒラメ。うん、確かにヒラメだ。 1kgほどなので、リーダーを持ってぶり上げた。
デッキでバタバタと暴れ、プチンとリーダーがブレイク。 おっと、危なかった。 良い子の皆さんは、玉網を使おう。
島では一年で一尾釣れるかどうかの貴重な魚。
そういえば、前回も同じエリアで釣ったんだっけ。 島周りは、岩礁地帯がほとんどで、砂地が極めて少ない。 それが理由で、ヒラメも少ない。
ヒラメは砂にもぐって目だけを出して、 真上を通る小魚を狙うというのが狩りの定番である。 だから、岩礁地帯はあまり得意ではない。
それでも、ベイトを追って集まることもあるようだ。 その内の一尾に、今日は出くわしたという訳である。 型は小さかったが、肉厚だった。
ラッキーというより、時期は違うが、 年に一度のお年玉のようである。
オールリリースデーではあったが、 ヒラメをリリースするには、
さすがに、もったいない気がする。
ヒラメの加工作業を考えて、早々に納竿した。 港へ戻ると、三枚におろし、持ち帰った。
刺身にしようかとも思ったが、 しゃぶしゃぶで食べることにした。
昆布のだし汁にさっと湯通して、 胡麻ドレッシングに付けていただいたが、
柔らかな食感と意外なほどの旨味に、舌鼓を打った。 鮮魚は、加熱しても新鮮さが分かる。
|