五日振りの出港となった。 微風ベタ凪だったが、四日も休むと、 モチベーションが回復し、 待ちかねたような船出となるのがいい。
いきなり深場の好ポイントへ一直線。 だが、鈎掛かりはまったく無し。
それもそのはず、船の流れが0.0km。 つまり、ほとんど動いていなかった。 それでも、活性は高いようで、
魚たちはしきりにプレコンタクトを試みつつも、 鈎に乗るほどの勢いはなかった。 一度、ニアコンタクトに近い、ギュイーーーンがあった。
いつまでも船が動かないので、深場は諦めて、 浅場の潮通しの良いエリアへ移動した。 着いてみると、1.1kmほどで流れていた。 0.0kmよりはずっといい。
なんだかアタリそうだなと思っていると、 がつ、がつっ、がつーん。コンタクト! キュイ、キュイと頼りなげな糸出し音のみ。
こくんこくんとよく首を振っては竿を曲げていた。
きれいなジャッキー(ジャストキロ級)だった。
これで、とりあえずの本命は確保した。 あとは、釣果音を聴くことだ。
船を立て直し、かけ上がりを攻め続けた。
満潮前で、流れはやや速くなった。 しめしめ、そろそろ大物が・・・。 と皮算用をしていると、 がつん、ぐいん!コンタクト。
ぐい、ぐいっつ、ギュイーーーーーン。 ギュイーーーーーン。 と凄まじい勢いで糸が出た。 この糸の出の距離は、ヒラマサだろうと、 気合いが入った。
指ブレーキを駆使しながら、 ギュイーーーン。を何度もかわした。 ギュイーーーン。重量感は、 ヒラゴサイズだと感じていたが、油断はならない。
ギュイーーーン。
やがて、底の方で、しきりと頭を振るようになった。 疲れると、小手先で逃れようとする。
そのままごり巻きして、魚体を浮かせた。
もう夏マサというのだろうか。
小
イカを沢山食べて、しっかり太っている。 釣果音をたっぷり聴かせてくれたことに感謝した。 愉しいやり取りだった。
おしまい。
となるはずが、明日の出港が難しい予報だったので、 もう少し、つづけることにした。 まだ、午前九時を回ったところだった。
ぎゅい、ぎゅいっとタイラバを咥えた魚がいた。 キュイーーン。も出たので、中型マダイだろうと思っていると、 プッツリとリーダーが切れた。
切れ口をよく見ると、どうやら巨エソのようだった。
おまけに、カナトフグも来た。 ネクタイが真ん中からプッツン。
スカートも数本が再使用不可能状態。 巨エソにカナトフグ。 タイラバキラーたちに苦しめられる時期が、 とうとうやって来てしまった。
ホウボウやチダイなどの、
他魚は、ほぼ入れ食い状態だったのが、 突然、ピタリと食わなくなった。 こういう時は、近くに大物が来ている可能性が高い。
とワクワクしたが、近くにシュモクザメが泳いでいた。 なーんだ、サメのせいかと がっかりしそうになったその時だった・・・。
ぐい、ぐいっ、ぐいーん。コンタクト!
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。 数回に分けて力強い釣果音を響かせた。 きたっ!大ダイだ。
いや、先程の引きに似ているような気もするなあ。 いずれにせよ、大物であろうと、やり取りに集中した。 中層ですでに糸を出す力を弱め、
向こうでポッカリが起こった。 思い通りの大ダイが姿を現した。
オスの大ダイだった。 すっかりスマートになってはいるが、黒々としている。 オスのこの黒色は、婚姻色ではない。
リリースデーなので、 尾をつかんでそのまま海へ解放すると、 海底へ元気よく帰って行った。
さて、もう少し続けようにも、
この大ダイですっかり満足し、 モチベーションがすっかり失われていた。
気が付くと愛艇は、 穏やかな美しい島の海を、
ゆっくりと港へと向かっていた。
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