5月28日

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五日振りの出港となった。
微風ベタ凪だったが、四日も休むと、
モチベーションが回復し、
待ちかねたような船出となるのがいい。

いきなり深場の好ポイントへ一直線。
だが、鈎掛かりはまったく無し。
それもそのはず、船の流れが0.0km。
つまり、ほとんど動いていなかった。
それでも、活性は高いようで、
魚たちはしきりにプレコンタクトを試みつつも、
鈎に乗るほどの勢いはなかった。
一度、ニアコンタクトに近い、ギュイーーーンがあった。

いつまでも船が動かないので、深場は諦めて、
浅場の潮通しの良いエリアへ移動した。
着いてみると、1.1kmほどで流れていた。
0.0kmよりはずっといい。
なんだかアタリそうだなと思っていると、
がつ、がつっ、がつーん。コンタクト!
キュイ、キュイと頼りなげな糸出し音のみ。
こくんこくんとよく首を振っては竿を曲げていた。



きれいなジャッキー(ジャストキロ級)だった。
これで、とりあえずの本命は確保した。
あとは、釣果音を聴くことだ。

船を立て直し、かけ上がりを攻め続けた。
満潮前で、流れはやや速くなった。
しめしめ、そろそろ大物が・・・。
と皮算用をしていると、
がつん、ぐいん!コンタクト。

ぐい、ぐいっつ、ギュイーーーーーン。
ギュイーーーーーン。
と凄まじい勢いで糸が出た。
この糸の出の距離は、ヒラマサだろうと、
気合いが入った。

指ブレーキを駆使しながら、
ギュイーーーン。を何度もかわした。
ギュイーーーン。重量感は、
ヒラゴサイズだと感じていたが、油断はならない。
ギュイーーーン。

やがて、底の方で、しきりと頭を振るようになった。
疲れると、小手先で逃れようとする。
そのままごり巻きして、魚体を浮かせた。



もう夏マサというのだろうか。
小 イカを沢山食べて、しっかり太っている。
釣果音をたっぷり聴かせてくれたことに感謝した。
愉しいやり取りだった。

おしまい。

となるはずが、明日の出港が難しい予報だったので、
もう少し、つづけることにした。
まだ、午前九時を回ったところだった。

ぎゅい、ぎゅいっとタイラバを咥えた魚がいた。
キュイーーン。も出たので、中型マダイだろうと思っていると、
プッツリとリーダーが切れた。
切れ口をよく見ると、どうやら巨エソのようだった。

おまけに、カナトフグも来た。
ネクタイが真ん中からプッツン。
スカートも数本が再使用不可能状態。
巨エソにカナトフグ。
タイラバキラーたちに苦しめられる時期が、
とうとうやって来てしまった。

ホウボウやチダイなどの、
他魚は、ほぼ入れ食い状態だったのが、
突然、ピタリと食わなくなった。
こういう時は、近くに大物が来ている可能性が高い。
とワクワクしたが、近くにシュモクザメが泳いでいた。
なーんだ、サメのせいかと
がっかりしそうになったその時だった・・・。

ぐい、ぐいっ、ぐいーん。コンタクト!
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
数回に分けて力強い釣果音を響かせた。
きたっ!大ダイだ。
いや、先程の引きに似ているような気もするなあ。
いずれにせよ、大物であろうと、やり取りに集中した。
中層ですでに糸を出す力を弱め、
向こうでポッカリが起こった。
思い通りの大ダイが姿を現した。



オスの大ダイだった。
すっかりスマートになってはいるが、黒々としている。
オスのこの黒色は、婚姻色ではない。

リリースデーなので、
尾をつかんでそのまま海へ解放すると、
海底へ元気よく帰って行った。

さて、もう少し続けようにも、
この大ダイですっかり満足し、
モチベーションがすっかり失われていた。

気が付くと愛艇は、
穏やかな美しい島の海を、
ゆっくりと港へと向かっていた。



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