5月21日

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今日で、九日連続の出港だった。
休みを与えないブラック企業がやり玉に挙がっているが、
釣三丸も、このところ休みが無く、
ブラック鯛ラバ船となった。
しかも、五月に入って、17回も出船し、
すべてにおいて、本命及び準本命を釣り上げている。
ブラックではなく、ゴールド釣三丸。

だが、今日ばかりは、その記録が途切れそうな按排だった。
なぜなら、無風ベタ凪、0.0kmが続いていたのだ。
活性は低くはない。
その証拠に、頻繁に、プレコンタクトがあった。
一度、ギュイーーーン。が出たが、鈎外れ。
低条件ならば、せっかくの釣果音も、
ニアコンタクトで終了ということになる。
鯛ラバは、一にも二にも、その日の条件がものを言う。

どこへ船を走らせても、0.0kmは続き、
ほとんど船が流れることはなかった。
それでも、なんとか、キロ級の一尾くらいは。
そう願ってはいたが、半信半疑。
二時間という長い空白が、虚しさを増幅させていた。

しかし、ベタ凪はいい。
まるで湖に浮かんでいるようで、
ぽちゃぽちゃと可愛らしい波の音が、
船に当たっては生まれていた。
今日は、釣りはなかったということにして、
クルージングのみを楽しもうと考えるようになっていた。
それでもいいなと思うほどに、
このところ、いい釣果が続いていたのである。
冷凍室は切り身で満載だし。

ベタ凪の楽しみはまだある。
船を大きな漂流物と勘違いして、
様々な稚魚の群れが目の前に現れるのだ。
それが、また可愛い。
これほど感動的な水族館もあるまい。
天然の、またとない稚魚水族館。

最近の海面は、マダイの稚魚はほとんど見られないが、
代わりに、ヒラマサの稚魚の群れをよく目にするようになった。
このところ、ベタ凪の日は、毎日のように出会う。
すでに、10cm前後に成長した十数匹の群れ。
イエローテイルキングフィッシュという英語名の通りに、
尾びれが黄色くて、体型はもうすっかり大人のヒラマサと同じ。
ミニサイズのヒラマサがやがて、
強烈な釣果音を与えてくれるかと思うと、
目に入れても痛くないほど可愛い。
まさに、島の海の大切な宝のひとつだと言えるだろう。
釣りはそっちのけで、ヒラマサの稚魚たちを、
詳細に観察しては愉しんでいた。

今日は、これにて、終了。

となるはずが、駄目元で最終流しをすることにした。
近くに、よく潮が流れる浅場があることを思い出した。
よさそうなポイントに到着し、速度計に目をやると、1.1km。

がつーん!ギュイーーーン。
おおっ、いきなり大ダイかとも思ったが、
よく聴くと、キュイーーン。だった。
それでも二度、三度となく糸が出たので、
逃してはなるまいと、やり取りに力が入った。
良型に近い美しいマダイが挨拶をしてくれた。



色も体型も完璧なほど美しいマダイだった。
58cmの準良型。なかなかの引きで、楽しませてくれた。
急いで鈎を外し、記念撮影をして、お引き取りいただいた。

いい流れは続いている。
速度が、1.4kmになり、ややインクラインになった。
あれっ、これって、大ダイ流れじゃないか。
と、嵐の前の静けさのような不気味さが漂った。

がつ、がつっ。ゴン!と激しいアタリが竿に伝わった。
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
あわわわわ。ヒラマサだあー。
ギュイーーーン。ギュイーーーン。
気合いを入れてやり取りをし続けたが、
引きの強さと重量感に圧倒されそうになった。
ギュイーーーン。
おい、おい、まだ引くのかよおーと弱音がもれた。
はあ、はあ、ぜいぜい。と息も上がって来た。
ここまできてバラす訳にはいかない。
せっせ、せっせと頑張った。
上層に来ても、まだ引いていた。
ヒラマサの90cmクラスだろうと判断していた。

船底に入っていこうとしていたので、
やばい!と思っていると、
魚はいきなり急上昇。
「ゴツン。」と船底に衝突した。
ん、何だか変だ。と思い、真下をみると、
大ダイがポッカリと浮かんでいた。
えっ、こんなことって、・・・。
あり得ない展開に、思わず笑ってしまった。



この画像が、あり得ないマダイである。
オスの77cm。ガングロ大ダイ。
ヒラマサのように引き、ヒラマサのように上層でも引き、
最後の最後に、力尽きて、ポッカリと浮かんだ。
前代未聞。大ダイはほんとに個性がある。
みんなちがって、みんな面白い。それが大ダイなのだ。

これにて、終漁!


<追記>

本日、今年初のカナトフグが掛かった。
早速、スカートを数本食いちぎられていた。
この魚との有難くない付き合いが、
ついに、始まってしまった。




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