真南の風。島でこの条件はかなり好くない。 南風では、潮ボケが多発し、 大変釣り辛いのである。 本命がタイラバを咥えたとしても、
その後が続かずに、鈎掛かりしない。
20巻きの4回というのが、 ワン・フォールでの精一杯の回数だった。
25号(93.75g)の鯛玉を使っているのは、 すでにご存じの通りで、それしか使わない。
4回以降は、ラインの角度が45度以上となって、 マダイからラインがよく見えるので反応がなくなるのだが、 着底しないので、釣りにならない。
風が強いので、1.2km平均の風流れ。
潮との相性がわるいのである。 案の定、プレコンタクトはあるものの、 なかなか鈎掛かりには持ち込めない。
チダイやイトヨリダイの良型は何とか鈎掛かりし、 まあ、ぼちぼちと釣りを楽しむことはできた。 潮の抵抗が強く、40cm弱のチダイでも、
マダイのキロ級かと思われるほど糸が出た。
釣れないなあとぼやいてはいたが、 予想された事態だったので、仕方あるまい。
しかし、5月に入ってからというもの、 本命や準本命を必ずコンタクトさせてきたものだから、 ここで途切れさせるには、忍びないとも思っていた。
鯛ラバ漁師の意地のようなものである。
それでも、5時間がリミット。 4時間を過ぎる頃から、焦りが出るようになった。 近くで二隻、レジャー船が釣りをしていたが、 釣り人は退屈そうにしていた。
やがて、その二隻もいつの間にかいなくなった。 やはり、どの船も釣れないのだろう。
ついに5時間まであとわずかとなり、
最終流しの時刻が迫っていた。 まあ、いい。こういう日もある。
がつ、がつっ。あら、離した。 がつっ、ぐいーん。乗った。 コンタクト!キュイーーン。
思いもよらぬ展開に、気合いが入った。 キュイーーン。ともう一度糸を出したので、 マダイのキロ級かと実物を見るまで信じていた。
ところが、浮かんできたのは、 あの、超高級魚のキジハタだった。
体長46cm。キロサイズだった。
この魚のキロ級は、覚えていないくらい前の話で、 準本命を釣り上げたうれしさと、 久しぶりの高級魚を手にしたよろこびが、
しっかり合わさって、思わずガッツポーズが出た。
キジハタは、マハタと並ぶ高級魚で、 キジハタのほうが、マハタより旨いという人もいる。
どんな味だったか忘れているので、 今回、じっくりと味わってみることにしよう。
いやあ、ほんとによかった。
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