5月15日

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昨日は、2時間で納竿したので、
疲れは、ほとんど無かった。
2、3時間以内に本命が複数釣れてくれると、
出船が毎日続こうが、疲労感は吹き飛んでしまい、
明日へのモチベーションを立て直す。
釣り師の身体と心は、単純素朴である。

今日もそのようになったらいいのだが。
と、期待しながらの出港だった。
明日もどうやら凪のようだ。
折しも、北西の適度な風が吹いていた。

あまり遠くへ行きたくはなかったので、
港近くの、キロ級本命エリアから船を流し始めた。
今回も、「放浪流し」でやってみることに。

第一投目で早速のコンタクトがあった。
キュイ、キュイとわずかな釣果音も聴こえた。
よし、予定通りのジャストキロ級サイズかとよろこんだ。

だが、この辺りでは珍しいホウボウだった。
なーんだ。とややがっかりしたが、



かなりでかい。計測すると、46cmあった。
他魚ではあるが、釣三丸新記録なので、
記念写真に収めることにした。

ホウボウを見ていると、
魚類が両生類に進化していく過程を、
再現しているような気がしてならない。
ヒレが変化した足で海底を這う。
顔もどことなくカエルに似ている。
この魚ばかりは、〆る気になれず、
ダーウィンに敬意を表し、放流する。

ホウボウのあとは、
リトリーブごとにプレコンタクトが続いた。
リアルコンタクトになるのは、
イトヨリダイやチダイのみだったが、
とにかく、忙しいばかりに竿をたたいた。

プレコンタクトでも、いちいち回収して、
鈎絡みなどの 仕掛けのもつれを直す必要がある。
そうしないと、コンタクト率は著しく下がる。

しばらく流していると、魚信が無くなった。
あれ、変だなあと思っていると、

ぎゅい、ぐいっ、ぐいん、コンタクト!
更に、キュイーーン。
と、待ちかねた本命が鈎掛かりした。



50cmのメスだった。
今日もリリースデーだったのだが、
ご覧のように内臓が派手にはみ出してしまい、
これでは再起不能である。
うしろめたい気持ちはあったが、
刺身にしていただくことにした。

これで海の神が機嫌を損ねられたらしく、
その後は、プレコンタクトすらないままに、
三十分間が過ぎた。
反省をしろということだったのだろう。

懺悔(ざんげ)タイムが終わると、
先ほどと同じようなアタリがあり、
キュイーーン。キュイーーン。と、数回釣果音が鳴った。



良型かと思うくらいの、力強い引きだった。
島のメスのマダイは美しいものが多いが、
美的なほどよく引くのでおもしろい。
53cmのメスだった。今度は無事にリリースすることができた。

「放浪流し」は続いていた。
もう二時間近くエンジンは止まったままだった。
風に乗って、1.1kmでずっと流れていたのだが、
満潮前の潮が動き、1.4kmになっていた。
偶然にも、船はキロ級地帯を離れ、
大ダイポイントへ差し掛かろうとしていた。

すぐに、釣三丸スタンダードを追う大魚の姿。
ぐいっ、がつん。コンタクト。
かと思われたが、あれっ、放した。
しかし、大魚は諦めてはいなかった。
まだ、追ってくるのが分かった。
捕食スイッチが入ったままだったのだ。

ぐい、ぐいっつ、がつーん。コンタクト!
ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
大ダイ流れだったのだ。
キュイーーン。キュイーーン。
釣果音は徐々にボリュームを下げていた。
しぶとく首を振りながらも、徐々に浮かんできた。
ラインの最終色のところで、向こうでポッカリがあった。
そして、 予定通りの大ダイが浮かんだ。



71cmのオスだった。
粘り強く引きを楽しませてくれたので、
ありがとう!の声と共に、大ダイを見送った。

始めは、腹を上にして浮かんでいたが、
しばらくすると、目が覚めたように起き上がり、
バシッと水しぶきを上げて、海中へ潜った。
いかにも男らしい、いや、オスらしい立派な態度だった。
帰り方も、大ダイごとにちがうのが面白い。

ちょうど二時間が経っていた。
今日はもうこれでじゅうぶんだ。
と、明日の出港も考えて、納竿することにした。

漁を目的としない、アングラーズデーは、
不思議と、短時間で満足のいく釣果が上がる。
無欲の為せる業か、海の神のお心遣いか。
いずれにせよ、釣りそのものを愉しめる。


<追記>
フグにスカートをかなり食い千切られた。
今年初であるが、
正体は、カナトフグではなく、シマフグだった。
模様がけばけばしく、カナトフグより獰猛だった。          




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