五日振りの出港となった。 丸四日の時化は心身に堪える。 三日までは何とかかんとか我慢できるが、 四日となると、精神衛生上もよくない。
さわやかな気分で港へ向かった。 ああ、海はいいなあ。 と、船を出したが、沖は時化。 回復を待って、近場でリーリングを続けた。
この間、コンタクト無し。 このところ、近場で掛かった試しが無い。
近場にマダイがいない訳ではない。 実績もそこそこあるのだが、
沖のポイントと比較すると、釣りをする船の数が多く、 釣りはしないまでも、かなりの船舶の通り道となっている。
「場荒れ」というのだろうか、そのような雰囲気がある。 定置網船の通路ともなっていて、 おこぼれを狙っているエソが多い。
二時間でようやく風が収まり、 白波がほとんどなく、いい状態になった。
風は真北から吹いている。 これもあまりいいとは言えないが、 南風よりましではある。 すかさず、沖のポイントを目指した。
今日はオールリリースデーなので、
大物を一尾釣り上げるまで頑張るつもりだった。 最初にイトヨリダイが掛かった。 次にチダイ、またイトヨリダイ、さらにチダイ。
なーんだ小物ばかりじゃないか。 と、不満を唱えていると、満潮前の潮が動いた。
20巻きして、フォールしていると、
スプールに変化が起こった。 シュルシュル。急いでハンドルを回すと、 ぐいん。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
フォールにコンタクトしてきたのだった。 5月8日以来の釣果音だ。
あの時はヒラゴだった。
ギュイーーーン。は数回あった。 走りと重量感から、本命だと確信した。 大ダイか、それに近いだろうと予測した。
獲物はゆっくり浮かんできた。 向こうでぽっかりがあり、 婚姻色のマダイが姿を現した。
体長65cmの良型マダイだった。
このサイズのメスは大ダイ並みに引く。 というのがいつものパターンである。
海に浮かべると、元気よく帰って行った。
マダイの見送りは、リリースデーの愉しみでもある。 ブルーの星がちりばめられた背中が、 とりわけ美しく見えるのがいい。
ちょうど三時間が過ぎていた。 大物を掛け、釣果音も聴けたことだし、
明日も凪の予報だし、
本日は、これまでとしましょうか。
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