八日連続の出港となった。 前回に引き続き、低活性。 というより、条件がそのようにさせている。 と言った方が正しい。
潮が良く流れ、風が潮流に対して適切ならば、 コンタクト率は必然的に高くなる。
南風がやたらと強い。白波すらあちこちに見える。
こういう日は、鯛玉の着底がままならない。 浅場を攻めるのがセオリーだが、 あまり大物の実績がないポイントがほとんどだ。
友人に魚を渡そうという日だった。 連休に米をもらっていた。 島の米はすべて旨いが、 友人の作る米は特に気に入っている。 彼の好きな青物が釣れればいいのだが、
五月一日から七日までの釣果には、 ヒラマサは入っていなかった。
ここはどうかなと思ったポイントへ到着。 島からはかなり離れたところだ。
浅場ではないが、
大ダイの実績があり、ヒラマサもアタったことがある。
最初のフォールで食った。 ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。
おっと、いきなり大ダイかとよろこんだのも束の間、 ふっと軽くなって、ニアコンタクト止まりだった。 ちょっと落胆したが、またアタるにちがいない。
と、気を取り直してリトリーブした。
そのニアコンタクトは、 満潮から下げの潮が動いた直後の、 大ダイ流れで、潮はすぐに緩んでしまった。
そうなってみると、ほんとうに惜しかった。
風が強いので、船は動く。 常時1.1kmほど。 南風でなければ、もっと速いはずだが、 潮と風が反対方向なので、
完全な風流れである。風速4mはあったかと思う。 更に白波が立ち、時化状態だった。 非常に釣り辛い状況にへきへきしていた。
もうこうなれば、どこを流しても大差ないだろうと、 得意の放浪流しをすることにした。 幸い、数々のポイントを通過しそうな方向へ流れている。
この間、燃料消費はゼロ。 黄砂がひどく、視界が悪かったので、あまり楽しくはない。 黄砂の交差点のように砂塵が集まっていた。(ギャグ)
涙がぽろぽろと、 悲しくもないのに流れ落ちていた。
チダイが二尾、キダイが一尾コンタクト。 ようやくのリアルな魚にほっとした。 35cmのチダイが最初のお土産となった。
チダイの刺身はこりこりして食感がいい。 旨味はマダイほどではないが、かなりいける。
ああ、釣果音を聴きたいものだなあと思っていると、
がつん、ぐいん、コンタクト! タイラバをひったくったようなアタリだった。 ギュイーーーン。ギュイーーーン。 朝一番の引きに勝るとも劣らないパワーだった。
大ダイかと思われたが、重量感がない。 ははん、ヒラゴかあ。 ちょっと緊張感が薄れ、やり取りを楽しんだ。
えっ?ヤズ。と間違えるような、
ぷりぷりしたヒラゴだった。 これは、友人がよろこぶだろう。 しっかり血抜きをしてクーラーに収めた。 胃の中には、小イカがたんまりと入っていた。
タイラバも小イカに見えたのだろうか。
たっぷりと釣果音が聴けたところで、 三時間近くが経っていた。 もうそろそろ帰るとしよう。
放浪流しは続いていて、 三時間前からエンジンは停止したままだった。
それでは、これで最終流しだ。 と、気楽にリトリーブしていると、
キュイーーン。が出た。 あれ?本命かなと思うほど、キュイーーン。が続いた。 だが、引きが違う。根魚らしかった。 根魚にしてはよく引くので、
ハタの仲間では、 もっともパワーのあるアオハタだと確信していた。 そして、その通りな結果となった。
なかなかの型に満足していた。
ヒラゴにこれを加えれば、友人はご満悦となるだろう。
たった一度の放浪流しで、 船は5km近く流されていた。
ヒラゴ、アオハタ、チダイ、キダイと、 四目の魚がコンタクトしたことになった。
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