微風ベタ凪にての出船となった。 ゲストを二名迎えてのワクワクフィッシングである。 とりわけ、遠方から6時間もかけてやってくるYさんは、
島のマダイがとりわけ美味しいことを熟知している。 先日は県外の遊漁船で二尾釣り上げたというが、 味がいまいちで、島のマダイが恋しかったらしい。
ここで釣るのも勿論楽しいが、 そのあとの、味わいをたっぷり楽しむ。 Yさんには、ぜひともお土産をと、願っていた。
無風に近い微風で小潮だったが、 船は常時1.4km以上の速さで流れていた。 おおっ、これは、いいぞ。と期待が高まった。
早い時刻に、もう一人のゲストにコンタクトがあった。 キュイーーン。と糸は少し出ていた。 50cm級だろうと思いながら、見守った。
予想通りの中型マダイが姿を見せた。
お土産にもなるオスだった。
続けて小型マダイやチダイなどが、 数多くコンタクトした。
確かに活性は高く、大ダイもアタりそうな条件だった。
道糸がインクラインからバーチカルに変わると、 大ダイが動き、船長のタイラバをくわえた。
がつ、がつっ、ぐいん。コンタクト! ギュイーーーン。ギュイーーーン。ギュイーーーン。 よし、大ダイだ。と確信した。
ギュイーーーン。がしばらく続いたのち、 中層付近で引きが弱まった。 あとは、重量感を味わうやり取りになった。
74cmと、昨日とほぼ同サイズのオスだった。 連日の大ダイコンタクトに船長もよろこんだ。 なんだか、大ダイパターンになったようだ。
しばらくして、船長にまたもやすごいアタリがあった。 ギュイーーーーーン。 先ほどよりずっと強烈だった。 ギュイーーーーン。
今度は中層を過ぎてもよく引いた。 船の真下でぐいぐいと引く。 これは、おそらくヒラマサだろうと思った。 上層近くになっても引きは続いたのだ。
やっぱりヒラマサであるにちがいない。
ところが、海面近くで急に引きが弱まり、 「向こうでポッカリ」が起こったのだ。
大ダイだった。で、でかい! 玉網に収まったのは、久しぶりの80cm級だった。
体長85cmのオスだった。
王者らしい風格が漂っていた。 昨年の11月29日以来の80cmオーバーだった。 おひさしぶりいねえ。あなたに会えるのはー。
と、懐メロを口ずさんだ。
船長が二尾も大ダイ釣ってどうすんの。 ゲストが釣ってなんぼでしょ。
と思わないでもなかった。 ゲストに釣って欲しかったんだよね。 「これもって、記念撮影しない?」
「ズル、いやですよ。」とあっさり断られた。 やっぱりな。自分で釣らなくっちゃだめか。
お昼近くとなり、相変わらずの活性の高さで、
小型のマダイや他魚は釣れ続いた。 Yさんにアタってくれないかなあと熱望しながら、 船長は、自分の竿を休め、見守っていた。
すると、ついに、Yさんの竿がうなった。 ギュイーーーン。ギュイーーーン。 やった!ギュイーーーン。
慎重に、たっぷり時間をかけてのやり取りだった。 ギュイーーーン。
苦労の甲斐があった。 自らの手で70cm級の玉網入れを成功させた。
何んと、本日は、大ダイが三尾。
これまでの最高記録は四尾だったが、 それに次ぐ快挙となった。
もう一人のゲストにも大ダイの期待がかかったが、
残念なことに、それはかなわなかった。 それでも、本命がコンタクトしているので、 今日は三名ともに本命を釣り上げたことになる。
かくして、激釣ともいえるこの日のフィッシングは、 和気藹々と談笑が続き、 楽しい時間を演出して終了の時間を迎えた。
ちなみに、船長が釣った大ダイは、 〆て血抜きをし、 一尾ずつゲストへプレゼントした。 島のマダイをたっぷり味わったことだろう。
めでたし、めでたし。
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