北東風の予報ということで、 かなりの期待をもって出港した。 この風は、実績がある。 過去、最高の好釣果は、大ダイが4尾というのがあった。
この時も、北東風だった。 風向きと、潮の流れる方向には、相性があって、 この風が、もっともいいことはわかっている。
実際に、今日も、朝の早い時間帯に、 ニアコンタクトがあった。 ギュイーーーーーン。 ギュイーーーーン。
と、強烈な糸出し音を聴いたかと思うと、 ふっと軽くなった。 単純な鈎外れかと、回収してみたが、
そうではなくて、一本の鈎先がきゅっと曲がっていたのだった。
実は、直前に小さなイトヨリダイを掛けていて、
鈎先を点検せずに釣りを続けていたのだった。 まさか、この程度のサイズで鈎がトラブっていようとは。 ほんのわずかな隙を突かれた格好となった。
これには、かなりのショックを覚えるとともに、 今後、油断なく、鈎先の点検をすることにしようと、 決意を新たにした次第である。
その後は、キロ弱マダイが2尾、 アオハタ、イトヨリダイ、キダイと小物が釣れ続いた。 活性は低くはなかった。 さすがは、北東風である。
しかし、本命は、始めのニアコンタクト止まりだった。
四時間が経っても、釣果音には程遠い。
そうなると、ますます、点検ミスが悔やまれる。 珍しく、潔(いさぎよ)さが失われていた。 「後悔先に立たず」ということか。
天候が良かったので、
長時間もあまり苦にならず、 アタリもぽつぽつあって、退屈はしていなかった。 悔しいが、釣果音も聴けたことだし、 そろそろやめるとするか。
そう思いながら、最後のひと流しをすることにした。
すると、ギュイーーーン。が出た。 本日二度目の釣果音だった。
ギュイーーーン。ギュイーーーン。 おおっ、これはデカそうだ。と歓喜に沸いた。 今度は、逃してなるものかと、やり取りに集中した。
キュイーーン。とトーンダウンし、引く力が弱まった。 本命にちがいない。大ダイサイズかも。
浮かび上がったのは、
腹がはち切れんばかりに膨れたメスのマダイだった。
体長68cmの準大ダイだった。
腹に空気も入っていたが、 それよりも、今にも卵がはみ出しそうな膨れ具合だった。 目が上向きになっていたので、危ないと思った。
産卵中のマダイをキープする訳にはいかない。
玉網に入れたまま海水に浸け、 しばらく回復を待った。 すると、ようやく尾をさかんに振って、
逃げようとする態度が見られるようになった。 玉網から出すと、海底へ去って行った。 ああー、よかった!と思わずつぶやいた。
前回の白子たっぷりマダイといい、
今回の真子たっぷりマダイといい、 これから産卵のピークを迎えるということが、 よーく、わかった。 明後日からの三日間は大潮で、天候が良ければ、
おそらく、夜の産卵ショーが見られるのではないだろうか。 一度でいい、ダイビングで直接見たいものだ。
がっかりしている釣三丸船長を見かねて、 もういちどチャンスを与えてくれた、
島の海の神には大いに感謝すべき日となった。
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