このところ南風がよく吹く。 この風ではあまり期待はできないのだが、 凪とあらば出るというのが、 マイボートフィッシャーマンの習性である。
釣れる釣れないは二の次で、 釣れぬも、実釣研究のデータとして蓄積される。 ビックデータたけなわの今日この頃、 実釣データは多ければ多いほどいい。
あれこれ模索した結果、 南風でも比較的良い釣果を得たエリアへ向かった。 近場では、起伏の激しい海域で、
10mほどの水深の変化があちこちで見られる。 南風であると、その変化を辿るように船が流れる。 1.4kmの船流速度を保っていた。
1時間ほど流したが、 プレコンタクトがたったの一度だけという、 予想通りの食い渋りだった。 島の釣り仲間から携帯に電話が入り、
状況を尋ねられたが、 「風がわるいですもんね。」などと不満を述べ合った。
やや場所を移動して流すと、
しきりとプレコンタクトが起こるようになった。 覚えているだけで、5回。 それだけあると、期待に胸が躍るもので、
ようやく、アオハタと40cmほどの小型マダイが、 リアルにコンタクトしてくれた。
曇り空で、風が冷たく、
春用の服装だったので、えらく寒い。 2時間が経ち、今日は本命ボウズかいな。 と弱音を吐きそうになった時だった。
がつっ、ぐいん、コンタクト! ギュイーーーーーン。ギュイーーーーーン。 ギュイーーーーーン。と三度激しい釣果音が響いた。
「
わおっ、大ダイか。」とよろこんだ。 だが、ギュイーーーーーン。はまだまだ続く。 ええっ、まさか、ヒラマサ?とおどろいた。
ここでヒラマサが掛かったことは一度も無かったのだ。 おそらく回遊性のヒラマサだろう。 船の真下でグイグイと引いていた。 少しずつ浮かんでは来たのだが、
やはり、真下でグイグイと引く。
もう、これはヒラマサなことに疑いの余地は無かった。 海面に浮いてもあちこちと走り、
玉網に入れるのに苦労した。
体長78cm。準ヒラマササイズのヒラゴだった。 釣三丸の釣果得点は、4点である。 どうりで、よく引いた訳だ。
瀬が荒いのにリーダーがブレイクしなかったのは、 これがやはり、回遊性のヒラマサであることを物語っていた。 地付きなら、最初の糸出しでプッツンだっただろう。
リーダーのざらつきはなかった。
ヒラマサは準本命で、釣果音もたっぷり聴いたので、 二時間の釣行で納竿することにした。 港での解体作業を考えると、このくらいでいい。
今夜は春マサの刺身に舌鼓を打とうと考えていた。 ヒラマサは年中旨いが、 寒冷期を乗り切った今頃は特に旨い。
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