月25日

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凪の予報が外れ、
港に到着すると、北東の強風が吹いていた。
どうしようかと迷ったが、
まだ白波は殆んど立っていなかったので、
朝の内なら大丈夫かも知れないと、出港することにした。

船は、1.2kmで流れており、
これならば、いいだろうと、リトリーブ。
おびただしいほどの魚の群れは見られるが、
とんと、アタリらしきものが無い。

大量のプランクトンとそれを狙うベイトの数が半端ではない。
魚探は、黄色や赤で覆われていた。
これだけ食料があれば、
何も無理してタイラバを追うことはない。
他魚からは、完全に無視されていたようだった。
名付けて、「過餌シンドローム」。

それでも、マダイなら好奇心が強いので、
ごく稀にではあるが、タイラバに関心を寄せるのもいる。
それを気長に待つしかないと思っていた。

その時は、意外に早く来た。
ぐい、ぐいっと、タイラバを引っ張っている。
鈎掛かりはしたようだが、
いつまでも、首を振っている。
底付近で掛けたのだが、
20巻きを過ぎた頃になっても、
まるで、イトヨリダイか小型マダイでもあるかのように、
引きは弱かった。きっと小物だろうと思っていた。

30巻きほどすると、突然、キュイーーン。
と糸が出た。キュイーーン。キュイーーン。
おおっ、これは、本命だったんだ。
と、よろこんだが、まだ、半信半疑だった。
危険回避スイッチが入るのが、
これまでになく遅かったからだ。
キュイーーン。と、四度目の糸出しで、
ようやく確信するに至った。

ポンピングして重量を確かめると、
良型ほどの重さを感じた。
それからは、丁寧にごり巻きしながら、
魚体を海面に導いた。



オスかと間違える程、腹が黒いメスだった。
腹は黒くても、 腹黒い人間とは違って、
マダイの性格は素直である。
63cmの体型の美しいマダイだった。
これが、マダイのメスの婚姻色である。
そろそろ産卵が近いことを物語っていた。

記念撮影をすると、
産卵仲間の元へ元気に戻って行った。

1時間半での釣果だった。
これで、課題達成となったので、
やや、モチベーションは低下していた。

それを見透かされたかのように、
北東風が更に強まり、白波があちこちに見え始めた。
船流速度は2.0kmを超え、最大2.8kmになった。
ラインにはプランクトンが纏わり付いているので、
0.8号が、1.5号と同じくらいの、
フォールスピードとなって、潮ボケが早過ぎるようになった。

こういう条件では、まず、釣れない。
ラインの角度が45°を超えると、丸見え。
だめだこりゃ、と諦めることにした。

秋の始めは、北東風がよく吹くが、
季節の変わり目の春の始めも、同じく北東風が多い。
違っているのは、水温で、
秋なら、25℃を超えているが、今は14℃しかない。
この10℃以上の差が、食い渋りの決定的な理由で、
魚の数は多いのだが、渋いという状況を生み出している。

だが、今回で、五回の出船で、
必ず良型以上を手にしたことになった。
大物五連続というのも珍しい。
釣三丸スタンダードの底力でもあるが、
乗っ込みシーズンであることを匂わせているのは確かである。



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