月18日

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無風、ベタ凪。
嫌な予感がしていた。
前回とほぼ天候は同じだったのだ。
その時は、激シブに近かった。

このところ、上りダイが集まっていると思われる、
新しいポイントへ向かった。
愛艇で25分間の遠征である。
いざ、船に乗ってみると、
早くリトリーブしたいものだと、気が急く。
30分間が耐えられる限界なので、
私のフィールドもその範囲にしている。
それ以上の遠征は、まず、しない。
しなくても、そこそこ釣れるので、
たいへん、恵まれた環境にあると言えよう。

今日は、「大ダイハンター女史」の乗船だった。
女史は、中型では、まったく不満である。
少なくとも、55cm以上は必要で、
大物(良型以上)を釣ろう!という、
大いなるモチベーションを常に携えている。

中型でも本命ならいいかなと考えている船長とは、
気合そのものが決定的にちがっている。

話はやや変わるが、
もっとも食べごろなのは、良型(60cm級)である。
この頃は、準本命のヒラマサが良く釣れるので、
マダイと交互に毎日いただいている。
自称「世界一マダイを食う男」である。
ギネスブックにでも申請しようかと思うくらい、
マダイの味は、骨の髄まで知り尽くした。
ひと言でいえば、「飽きない」のである。
島のマダイは格別で、ゲストの多くは、
その味に感動して、お礼のメッセージを送信してくれる。
この旨さを深く理解できるようになると、
マダイと鯛ラバのエキスパートになるだろう。

女史の願いを叶えるべく、慎重に始動点を決めた。
風が無いのでラインはバーチカルだった。
だが、前回と大きく違っていたのは、
船が常時、1.1kmで同じ方角へ流れていたことだった。
つまり、上潮が安定して流れていて、
決して速くはないが、潮の動きは確かに良い。

これは、たいへんいい条件である。
風流れよりも、潮流れの方がコンタクト率は上がる。
3月5日に激釣だった時は、やはり、同じような感じだった。
「今日は、釣れるよ。」と、女史に伝えると、
「よーし、がんばるぞー。」と更に、気合を入れていた。

まずは、船長に中型がコンタクトした。



キロを僅かに超えたくらいの中型だった。
オスだったので、キープした。

次に、女史にコンタクトがあった。



45cmのジャストキロ級だった。
小さくても、ぎりぎり本命で、
早くも、全員(2名しかいないが)本命ボウズはなくなった。
これは、メスだったのでリリース。

安心して、始動点に戻し、再び流していると、
船長にコンタクト!
キュイーーン。という釣果音が数回響いた。
おおっ、これは良型だとよろこんだ。



メスのような体型と美色を持ったオスの良型だった。
マダイの引きの強さは、色に大きく左右される。
美しいものほど、アスタキサンチン効果で、
健康的なので、引きも強くなるという訳だ。
61cmだったが、オスの大型並には引く力があるので、
楽しくやり取りをすることができた。

早くも本命を三尾。
船長のモチベーションは消えていた。
満足してしまったこともあるが、
前回の激シブ6時間釣行が堪えていて、
かなりの疲労が残っていたのだ。

船長より、女史に掛かってくれないものかと、
願っていたが、またもや船長の竿が曲がった。



50cmの中型だった。メスなので、放流。

同じ始動点に船を戻して、再度流し始めた。
しばらく、反応がなかったが、
満潮前の潮が動いたのが分かった。
いい風も吹いてきて、
今までずっとバーチカルだったラインが、
インクラインに変化した。

すかさず、女史に伝えた。
「いい感じになった。こりゃ、釣れるよ。」
と言うが早いか、
大物らしいアタリが、フォールの途中であって、
みごとにコンタクトした。
キュイーーン。キュイーーン。



竿は美しい弧を描いて、
竿先がしばしば海中へ突っ込んだ。
キュイーーン。
「よし、のがすなよ!」
と激励しながら見守った。

時間はかかったが、
獲物は無事玉網の中へ納まった。



見るからにオスらしい良型マダイだった。
体長は65cmと、最も美味なサイズだった。

これで、女史の目標は達成。
二時間半で、合わせて本命五尾という、
三月五日以来の激釣となった。
良型のイトヨリダイを三尾と、
同じく良型のアオハタも二尾釣り上げていた。
まだまだ釣れそうだったが、
欲を出せば、海の神が好ましく思わないだろう。
微笑んでいるうちに、止めておこう。

港に戻ると、魚をさばき、
二人でせっせとデッキの掃除をした。
いちばん大切な、「船」という大道具を、
大切にしなければ、今日のような好釣果は望めまい。
何より、掃除の行き届いた船は気持ちがいい。

女史の釣るマダイは、どういう訳か、
いつも船長より大きい。
「大ダイハンター女史」といわれる由縁である。



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