一昨日から最強レベルの寒波と、 この頃の低活性で、身も心も寒々としていた。 今日は、凪だったが、 澄み潮で水温も更に低下していた。
ため息交じりに、 ああ、今日も長時間労働だろうなあ。 と、船長はつぶやいた。
日本の社会では、
長時間労働が何かと話題にのぼるようになった。 もちろん、管理に問題があることは否めないが、 長く働くことが美徳と思うのが日本人気質で、
お互いが足を引っ張り合っているという面もある。 政府も対策を練って努力しているようだ。 誰もが趣味やレジャーを大いに楽しめるような、
いい日本になってほしいものだ。 趣味やアウトドアには消費マインドが上がるので、 経済も活性化するだろう。
人生楽しんでなんぼという、オージー魂に学ぼう。 有給休暇は全て消化して当たり前の日本がいい。
余談になってしまった。
実釣記録を進めよう。
まずは、港近くから船を流してみた。 ん、流れは、なかなかいいではないか。
北北西の風に乗って、1.2km以上で流れていた。
巨エソがアタりませんようにと、 祈りながらリーリングをしていたら、 巨エソどころか、
すべての魚がタイラバを無視していた。
あらら。やっぱりね。 今日も、長時間労働をした挙句に、 本命ボウズなんて結果になるかも。
と、心まで寒々としてきた。
それはぜひ避けたいとばかりに、 もっとも実績があるポイントへ向かった。
すると、どうだろう。
かつて、
活性が高かった日と同じように、 船が流れているではないか。 しかも、満潮から下げの潮がよく動いていた。
おっと、これはいいぞ!と感じていると・・・。
がつ、がつっ、ぐいっ、ぐいぐい。 きた、きた! キュイーーン。キュイーーン。 うん、うん。これは良型はありそうだ。
逃してなるものかと慎重に魚を手繰り寄せた。
が、いつまでも糸が向こうにいかない。 上層に来ても、バーチカルのまま引きが続いた。
ありゃりゃ、小型の青物かな。 ネリゴ?もしかして、シマアジ? と期待はふくらんだが、あっさり裏切られた。
それは何と、めったにヒットしないシーバスだった。 70cm弱といったところか。 えっ、えっ、ヒラスズキじゃなくて、ふつうの?
このポイントは、険しい岩礁地帯である上に、
かなりの深場なのだ。これには驚いた。 しかも、水深75m前後の、底近くでヒットしたのである。 訳が分からなくなった。
記念撮影をして、船を立て直し、
同じ始動点から流した。
すると、今度は、フォールでヒットした。
ギュイーーーーーーン。 ヒラマサだと直感した。 始めの強烈な糸出しで、駄目だろうなと思った。 いつもの瀬切れパターンだなと観念した。
ところが何と、糸は切れなかった。
よし、やった!とばかりに、 それからは、かなり強引なやり取りをした。 親指でスプールの回転を抑えた。 ぎりぎりまで力を加えて、
あとは、竿のしなりで対応した。
これが、意外に功を奏し、 二度のキュイーーン。の外に激しく糸が出ることはなかった。
徐々に糸は巻かれ、海面に浮かせることに成功した。 それでも、さすがはヒラマサだった。 海中へ何度も突っ込もうとしていたが、
無事、玉網入れに成功し、フィニッシュを迎えた。 この間、7、8分といったところか。 今季は、大ダイと同じくらいの確率で、
ヒラマサがヒットしているので、慣れっこになった。
80cmオーバーの丸々としたヒラマサだった。 ニュージーランドでは、ヒラマサのことを、 イエローテイル・キングフィッシュと呼んでいる。
直訳すると、「黄色い尾の王様魚」という意味で、 釣りの対象魚としては、もっともポピュラーである。
ふた流しで、二尾ヒット。
いずれも本命ではなかったが、 これで、早々と、満足の域に達していた。 うーん、どうしようか。 本命を狙うべきか、これで止めるべきか。
のるかそるかの分岐点は、 その日の天候による。 本日は晴天なり。 寒いが、風も穏やかで、 よく晴れていて気持ちがいい。
短時間で戻るのは勿体ないと誰もが思うだろう。
もう一度だけ、同じポイントを流してみることにした。 あわよくば、本命でも、・・・。
船流速度は、1.4〜1.7kmと、理想的だった。 道糸は、インクラインに入っていた。
が、ががっ、ぐいぐい、ぐいーん。ヒット!
ギュイーーーン。きたっ。ギュイーーーン。 いい響きの釣果音が聴こえた。 ほどよい距離で糸が出て行った。 きっと、本命だろう。大物にちがいない。
ところが、中層を過ぎても、抵抗を続けていた。 あれっ?ヒラゴかな。と思わないでもなかった。 あと20mという段階になっても、真下に引くので、
あらら、またヒラマサかと思っていたが、 海面近くで、ようやく、「向こうでポッカリ」が起こった。
思わず、ガッツポーズ!
80cm弱の立派な大ダイだった。 今年の、初大ダイである。
三度同じポイントを流して、三度のヒットだった。
魚信も三度。すべて鈎掛かりした。 これほどの高活性は、この時期としてはめずらしい。
始めのポイントでは、
うんともすんともいわなかったのだが、・・・。
このポイントには、魚が集まっていた。 小魚やイカなどのベイトがよく群れるエリアでもあった。
満足は最高潮に達し、 まことに円滑な納竿作業となった。
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