1月17日

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1月4日以来の出港だった。
13日間以上もあいてしまうのは、昨年10月以来。
海が恋しくなっていた。

うねりは残っていたが、冬凪。
PM2.5の飛来がなく、
遠景の島が美しく見えた。
これほど空気が澄んでいると、
クルージングだけでも楽しい。

今日は切り身枯渇に備えての漁。
良型以上のオス一尾でOK。
空気と同じく、海もすっかり澄んでいた。
しかも、微風の為か船の流れが悪い。
時々1.0kmを表示するも、
0.0kmがしばしばだった。
愛艇のGPSは精度が低いので当てにならない。
おそらく、赤ん坊のはいはい程度だっただろう。

水温を手で確かめてみると、
しっかり下がっているのが分かった。
水温が低下したばかりで、澄み潮。
しかも、船が流れないという、
不活性要因が見事に揃ってしまった。

しかし、始め内のみ、三度アタリがあった。
が、どれも普通に鈎外れ。
一度は、上層近くまで浮かせたのちのフックアウト。
活性が低いと、鈎掛かりがどうしても甘くなる。

結局5時間以上ランガンを重ねた。
二度、ガツンと、いいアタリがあったのだが、
鈎に乗ることはなく、鯛玉のホロに歯形を確認した。
巨エソ地帯でもエソは来なかった。
それはそれで、うれしいのだが、
なんと、他魚すら一匹も釣れていなかったのである。

このままでは、釣三丸始まって以来の、
完全ボウズとなる。
それはそれで貴重なデータとなるだろう。
631回の出船にして、初。
状況が厳しければ、仕方ない話である。

切り身の心配もあった。
根魚や青物の切り身がほどほどに残っているので、
今日どうしても釣る必要はないのだが、
あったかい料理をするなら、
やはり旨味たっぷりのマダイが最高なのだ。

後のことを考えて、
午後2時ジャストで納竿するつもりだった。

港近くまで船を戻し、
午後1時45分に最終流しをした。
残り、15分。
船は相変わらず流れず、無風に近かった。
ラインはバーチカル。
釣れるはずのない惨めな条件だった。
完全に諦めていた。

午後1時58分。納竿まであと二分に迫った。
最後のフォールをしようと、仕掛けを回収した。
やっぱり駄目だったか。
イトヨリダイのポイントだったので、
それくらいはと思っていたのだが、・・・。

と、突然のことだった。
がつ、がつっ、ぐいん。
キュイーーン。キュイーーン。
えっ、えっ、もしかしてヒット?
思わず頬をつねろうとしたが、
あいにく両手がふさがっていた。

今日は三度も鈎外れの目に会っている。
バレない為の、基本的なやり取りを忠実に行った。
とにかく、手を止めずに巻き続ける。
糸が出ていても構わずハンドルを回す。
竿を海面に対して並行にし、
曲がりが90度を保つようにする。

徐々に浮かび上がっていた。
もう、大丈夫だろうと、
重さを感じるのみのやり取りとなった。

なんとか、バレずに玉網に収まった。
ふーっと、安堵の胸を撫で下ろした。
これほど緊張感のある本命とのやり取りも珍しい。

61cmの美しいオスの良型だった。
時刻は午後2時3分を示していた。



実は、これ、船長にとって、
今年初めての本命なのである。
元旦からの4日間は、
本命は全てゲストに持って行かれ、
船長は、本命ボウズが続いていたのだ。
今日こそは、・・・。と思っていた。

こんなドラマもあるんだなと、
ひとり、感心しきりだった。
50回に一度あるかないかの、
見事な演出をしていただいた、
海の神に感謝しつつ、港へと戻った。



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