捕鯨とマダイ

「風が吹くと桶屋が儲かる」式発想をしてみた。
「捕鯨をしないとマダイが釣れなくなる」ということ。

南氷洋には膨大なオキアミがいる。
それを主な食料にして鯨は繁殖を繰り返している。
捕鯨をしないと、オキアミが獲れなくなる。
すると、オキアミの価格が高騰し、
(今でも、かなり高値になりつつあるらしい。)
マダイの餌釣りは衰退する。
釣り人は何とかあの美味しいマダイを釣ろうと、
マダイ・キラーのタイラバが更に流行る。
その結果、数を減らし、釣れなくなるというわけだ。

もう一つの理由は、
釣り人が大量に撒くオキアミを食べて、
マダイは成長を早めている。
マダイは雑食性で何でも食べるが、
マダイにとってもオキアミは栄養価の高い食物だ。
オキアミが釣り人によって撒かれなくなると、
小魚が減ることと同じくらいの影響がある。
成長が遅くなれば、産む卵の数が減る。

南氷洋の捕鯨は、
反捕鯨国の反対に押し切られてできなくなった。
辛うじて、日本近海でのみ捕鯨ができるらしい。
これは、「災い転じて福となす」かも知れない。

イワシやサンマといった小魚が、
増えすぎた鯨によって片っ端から食べられている。
人間が獲る魚の二倍食べているという研究もあるくらいだ。
そのくらい、鯨は小魚を大量消費する。
鯨の数を調整して、漁業資源を保持することが、
日本の漁業にとっては、必要だと思われる。
小魚が増えれば、それを餌にするマダイも保護されるのである。

ちなみに、鯨の絶滅危惧種の筆頭は、
大型のシロナガスクジラだ。
ミンククジラなどの中型クジラは順調に数を増やしているが、
シロナガスクジラの個体数はまるで増えていないという。
捕鯨によって、ミンククジラなどを調整し、
シロナガスクジラの食べる分のオキアミを確保していたということ。

反捕鯨を唱える人々は、そういった研究に、
耳を閉ざし、目を閉じ、
口ばかりが異常に大きくなっているようだ。



inserted by FC2 system