小漁師という名の釣り好き


島で「小漁師」(こりょうし)というと、
現役を退いて、楽しみで船釣りをしている人々。
あるいは、仕事は別にあって、
ある種の魚がよく釣れる、
旬の時期に船を出すような人々。

いずれも、生活の為という訳ではないが、
島の旨い魚を自らの食卓へ並べたり、
近所や友人に分けたり、
更に余れば、漁協に魚を卸し、
小遣い銭を手にするといったもの。
実に、ほのぼのとした生活を営む人々である。

愛艇を置かせてもらっている港も、
小漁師の船が多い。
フレンドリーな人々ばかりで、
出港前には、「出るとな?」と声を掛けられ、
帰港すると、「釣れたな?」と尋ねられる。
こういう気さくなところがたいへんうれしく、
仲間として認めてもらっているようで、
ハッピーな気分になる。

私の場合も、魚で稼ぐ必要もなく、
八、九割をリリースしたとしても、
自分が夕食にする魚が不足したことはなく、
余った魚を島でお世話になっている人々に、
分けて差し上げるほど、そこそこ釣果がある。
しかも、ほとんどが大物な高級魚だからたまらない。

「小漁師」の皆さんと、
「釣三丸小漁師」とのちがいはと言えば、
皆さんが、イサキやミズイカといった旬の魚を、
数多く釣ることがメインであることに対して、
私の場合は、ご存知のように、
年間を通して、マダイオンリーであるということ。
おそらく、あきれられているかも知れないが、
それほど、マダイの釣り味と、食味が好きなのである。

一日一尾釣ればじゅうぶんで、
沢山釣ることを目的にはしておらず、
本命のマダイは、そう簡単には釣れるものでもない。
山は高いほどいいと言ったところだろうか。
アジやサバ、イカといった魚の数釣りではなく、
「満足の大物が一尾」ということを目指す。
難しい釣りだから、研究の対象になるのだと思う。

実態としては、「小漁師」だが、
鯛ラバ漁に特化しているという、
珍しい「小漁師」ではないかと思っている。
小漁師の実釣研究は、まだまだ続いていくだろう。




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