鮮魚で舌が肥えると


いい料理人になるには、
旨いものを食べ歩くとよい。
というのは昔から言われていたことだが、
料理は何より素材で決まるので、
いい食材を使ったレシピを食べないと旨さはわからない。

もう五年近く、島の極上鮮魚を食べ続けている。
魚の味を引き立てるレシピを数多く創作した。
毎日のように作り続けると、
釣りと同じで、勘が働くようになる。
「大ダイ流れ」を感じるように、
この素材はこの料理で生かされるだろうと、
直感的に判断できるようになる。

言わずもがな、舌が肥えてくる。
口にするものすべてを、
勝手に舌が判断し、
美味しいものとそうでないものを即決している。
コーヒーでも同じ。
飲んだ瞬間、うまい!と感じなければ次がない。

許容度が狭まったかといえば、
そんなことはない。
美味しくないものを受け付けなくなっただけで、
世の中、美味しいものの方が多い。
日本は美食の国なので、旨いものはいくらでもある。

魚で私の舌は感性が高まった。
このことは、まことに幸運だと思っている。
海の幸は、あらゆる食べ物の原点で、
海の養分と山からの養分を共に取り入れて、
生き物たちは育っている。

その海の生き物は栄養価が高い。
旨くて滋養があるものを食べ続けていると、
舌は、旨いものは体にいいものだという、
優れた判断力を高めるようになる。

魚を旨いと感じる為には、鮮度が何より大切である。
できれば、自分で釣って処理した魚がいい。
トレーサビリティ100%。

寒くても頑張って、
「風が止んだら、沖まで船を出そう」

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